第15話 新しい商品

畑の土ができるまで暇なので今回は新しい商品を作ってみようと思う。今ある果物は、イチゴとオレンジのみなので、大したものは作れないがせっかく冒険者組合に売るのだから冒険者向けの商品を作ろうと思う。


冒険者向けの食品でパッと思いつくのは缶詰やジャーキーなどの乾物で火を使わずそのまま食べられるものが人気だ。果物で言えばドライフルーツなんかにすればいいかもしれない。ただドライフルーツなんか干し柿くらいしか作ったことがないのでインターネットで調べながら作ろうと思う。


まず初めに果物を5mmぐらいの厚さにスライスしていく。

ザルに重ならないように並べ3日ほど天日干しを行う。(天気の悪い日や風が強い秘は避けるようにする。)


少ない工程でできるので簡単だが本当に成功するか心配だ。とりあえずザルに並べ日の当たる場所に置いておく。


ほかにもレンジでやったりフードドライヤーでやる方法があるみたいだがレンジは水分がそこそこ残るらしく保存には向かないらしい。フードドライヤーは5000~10000円ぐらいで変えて簡単にしっかりと乾燥したものが作れるらしいが、起動している間は少し音がするみたいで、夜中なんかは気になってしまうらしい。


とりあえず手が空いたので向かいの建設中の家へ差し入れを持っていこうと思う。ヨーグルトとイチゴと蜂蜜を使ったイチゴのジェラートを作っていく。


これまた作業は簡単なんだが、イチゴを荒つぶしと完全につぶしたものをヨーグルトに入れ甘すぎないよう蜂蜜を調節しながら加えたら保存袋に入れ冷凍させる。時間がたち凍ったものを取り出し手でもんで軽くほぐしたら完成だ。


さらっと作ってしまったが、材料費を考えると自分の家でとれたものを使っているからタダだが売値だとこの1袋で何百万円もかかっているのでゾッとする。このことは秘密にして差し入れしよう。


現場事務所に挨拶して入ると職人というよりも冒険者の人たちが建築作業を行っていた。今回は基礎工事のはずだったが、今目の前で起こっているのは土魔法で型枠を作り水魔法でコンクリートを作り流し込んでいる。仕上げに風魔法と火魔法で乾かしながら土魔法で均してお終いといったあっと驚く施工工事だった。


準備から完成まで1か月ほどかかる作業をわずか1日で終わらせてしまったのだ、これなら奥村さんが1か月で家ができると言っていたのに納得ができる。皆さんの作業がひと段落したみたいなので差し入れを配っていく。話を聞いていると皆さんは元冒険者らしく、時間がない緊急の工事などを専門にしていて普段は高速道路や都会などで作業をしており、かなり重宝されているらしい。


ジェラートはかなり好評なようで多めに作ったがすべてなくなってしまった。家ができるまでは、ちょこちょこ差し入れに来ることを伝え現場を後にした。


家に戻りザルを見に行くとなんとアリがたかっており果物がすべて黒く染まっている。よくよく考えると甘い匂いのする果物を外に置いておくなんて虫がたかるに決まっているじゃないか、こんなことならザルではなくネットに入れるやり方にすればよかったと膝から崩れ落ちた。そんな俺の肩を誰かがトントンとたたいた。


なんだと振り向くと、カットした果物をもしゃもしゃと食べていみっちゃんがいた。


「お前なぁ、気づいていたなら移動させておいてくれてもよかったじゃないか。」


「ギー♪」


「盗み食いなんて女帝のやることじゃないぞ、お前はその辺の虫とおんなじだな。」


「ギーギー(#^ω^)」


俺のその辺の虫発言に怒り6本の足で殴り掛かってくる。手加減してくれているので痛くはないのだが手数が多いのでその場から動けない。


「ごめんごめん。もう言わないから許して。」


「ギー(#^ω^)」


しばらく動けなかったが何度も謝りようやく解放された。その後果物をアリたちに与えザルを洗いかたずける。次やるときはフードドライヤーを使ってやろうと誓い通販サイトの購入画面をクリックした。

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