概要
行きがかり上、シグルズは同国に助力する。――それが褐色の英雄シグルズ・ヴォルスングと、魔法使いの灰色猫ヨルムンガンドの冒険の始まりでもあった。
とある王国の始まりと終わりの物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!読み味が重く感じないセンスが光る本格的な「ヒロイックファンタジー」小説
最新話の11話まで読んでレビューをしています。
この作品は典型的なヒロイックファンタジーで、世界観がすばらしくて言うことなしです。といったらレビューが終わっちゃうので、そうもいかないのですがw
えっと、雰囲気は北欧神話をベースにしたヒロイックファンタジー。もちろんチートもハーレムもなしの正統派のヒロイックファンタジーです。そして、語り部に一工夫あって、それがヒロイックファンタジーにありがちな重すぎさを打ち消していて、非常に読みやすい一作になっています。というか、これ、普通に10万文字書いちゃえば、すぐに拾い上げあるんじゃないか? と思えるくらいの圧倒的な完成度を誇る小説です。
ただ、1…続きを読む - ★★★ Excellent!!!猫が語り部の硬派なヒロイックファンタジー
2023年12月22日公開の「剣閃き魔法輝くヒロイックファンタジー!!」4選特集でこの作品を知りました。そこで解説されているように、ヒロイックファンタジーは一種の異世界ファンタジーではあるんですが、最近流行しているチート(もちろんこの作品のヒーローも強いんですが)やハーレム、ダンジョンなどはなく、悪役令嬢や聖女もいません。あえて言えば、ヒーローのシグルズが勇者、エルフの女王が魔王みたいな敵役かと言えるかもしれませんが、この作品はそんなテンプレに当てはまりません。
さらに何か仄暗い別の文明の薫りがするみたいな、なんというか表現が難しいのですが、北欧神話みたいな一種独特の雰囲気があります。中高生…続きを読む - ★★★ Excellent!!!国の未来を負い、男は戦いの場へと踏み入った
ヴァナン公国はユグドラ大陸の覇権を握るがための切り札——南海の島国ムスペル公国の戦象を求めた。その交渉を担った全権大使こそは褐色の肌持つ巨漢、シグルズ・ヴォルスング。人語を繰る灰色猫ヨルムンガンドを供連れた彼は、友へは舌先、敵へは切先を振るって使命を果たしていく。それが冒険への第一歩、英雄譚の序幕と知らぬままに。
北欧神話の風情を匂わせるこの物語、入り口に政治を置く斬新さにまず目を惹かれるわけですが、注目点は相棒のヨルムンガンドさんを語り部に置いたことですね。物語自体の描写の濃やかさに比べ、シグルズさんを綴る彼の言には過ぎた装飾がありません。近しい存在だからこその距離感、この上なく生き…続きを読む