第5話 緋色刀の使い手

昔戦国時代と呼ばれたちょっと前のことだ。

儂は見た。緋色に輝く刀を持った一人の男を


そ奴はとんでもなく強かった。大上段から振り落とせば敵は兜もろとも真っ二つに切り裂かれていた。繰り出される槍の穂先はことごとく切り落とされた。

槍の柄がでは無いぞ。鋼の刃がだ。


敵の大大将など、馬の首と尻尾が胴体の真ん中で切り離されていた。


儂は奴の敵軍じゃなくて良かったと思ったものだ。


奴の名前か?

知らぬ。あれほどの大活躍をしていたのに、だれに聞いても誰一人知っている者はおらんかった。


顔さえもおぼえておらん。


忽然と現れ忽然と消え去ったのじゃ。


すまぬのう。これだけの話にこんなにたくさん金をくれて、飲ませてもらって。




古老に話を聴いていた男は呟いた。


あいつに違いない。

古代より伝わる日緋色金(ひひいろがね)作りの国宝の刀を盗み色々な時代を渡り歩き

試し切りを楽しんでいる極悪人は。


もうすぐだ。待っていろ。

絶対に捕まえてみせる。

次元時間パトロールの名に懸けて。



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