第25話 ザ★ドワーフキング
ある日,
新世界プロレスの試合のテレビ放送中に異常な光景が
映し出された。
身長2メートル70センチ体重300㎏の大巨漢
【ギガントジャイアント】が身長150センチ体重65㎏の
【ザ★ドワーフキング】に
トップロープ越しに場外に投げ捨てられたのだ。
通常なら【ドワーフキング】の反則負けなのだが
今日の試合は特別ルール。
凶器を使った反則以外はレフエリーの判定次第で反則にならない。
【ドワーフキング】の売りは怪力とスピード。
トップロープから投げ捨てた位では反則に出来ないのだ。
場外でもがき苦しむ【ギガントジャイアント】。
ひょいっとトップロープに飛び乗った【ドワーフキング】。
なかなかのバランス感覚だ。そして場外の敵にフライング
ボデイープレスを仕掛ける。
普通なら高々65㎏のボデイープレス等
何と云うことも無いのだが、【ギガントジャイアント】は、
目を見開いて気を失っていた。レフエリーが駆け寄って
状態を確認して終了のゴングを要請した。
とんでもない大番狂わせだった。
この【ドワーフキング】という男、年齢不詳国籍不詳。
話す言葉も何語かも解らない謎に満ちた人物だった。
通訳はマネージャーの金髪碧眼のスタイル抜群の美女。
髪をかきあげる度に長い耳がチラっと見える。
フアンの間では【リアル エルフ】と呼ばれている。
その彼女がリングに上がりマイクを握る。
「ニッポンのみなさんいつも【ドワーフキング】を
応援してくれてありがとござ―います」
たどたどしい日本語で喋る。
【ドワーフキング】は本日をもって日本を離れまーす」
ええー、どういう事?フアンが騒ぐ。
それを手で制して再び喋りだす。
「私達実は【ミッチェル世界】という異世界の住人なのです。
ええーー!異世界来たーー!
本物のドワーフにエルフだーー!!
「数年前にこの世界に飛ばされて困っていた時にこの団体の
社長さんに拾ってもらって
プロレスで食べさせて頂いてました。ですが今夜元の世界に
戻れる事になりました……」
一息ついて言う。
「ニッポンのフアンの皆様、団体の仲間達。そして社長さん
本当にどうもありがとうございました。それでは皆さん
サヨウナラ!"#%&!&%$#&」
最後に異世界言語で別れを告げて【ドワーフキング】と
【リアル エルフ】の姿がリングから消えた。
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