第13話 米味噌醬油店

野本国のっぽんこくの首都【旧宿】に

変わった店が有る。

看板に【米味噌醬油店】と書いてある。

出入りしている客は黒目黒髪の者が多い。

多いが全部が全部というわけでも無い。

金髪もいれば銀髪もいる青い目も居れば

オッドアイも居る。


店の中を覗いてみよう。

「ここにこの店が有ってよかったわ。転生して来て

ずっと日本食に飢えていたの。今日は一杯買って

行くわ。」

と、買物カゴを取って楽しそうに店内を見て回る

エルフの女性。

「あ、あった。昆布にワカメに干し椎茸。煮干しに

削り節。醬油にみりんそして味噌お米も欲しいけど

予算オーバーだしどうしよう……」

「お客さん毎週月の日にまた開店しますから来週

来ていただければ有難いです」

「そうだね。そうするよ」

そのドワーフの男性客は米は諦めて日本酒を買って

嬉しそうに帰って行った。

彼も転生者のようだ。


「店長さんこんにちは!」

元気な女の子が入ってきた。

「あたし転移者だからこの店を見つけた時

やったーあたしもこの世界で生きていけるって

嬉しかったよ。今日はインスタント袋麵が欲しいけど

ある?」

高校生位の日本人の少女は味噌、塩,醬油の1袋5個入りの

袋ラーメンを買って

「また来るねー」と元気に帰って行った。


 この世界に転移してきた時【米味噌醬油店】という

訳の分からないスキルを得ていたが、この世界には

日本に良く似ているけど、日本食がないことを知って

取り敢えず食うには困らない事に気付いた。

最初は米味噌醬油だけしか入手できなかったが、

少しずつレベルが上がるにつけインスタント食品や、

レトルト食品,色々な調味料やスパイスが

手に入るようになった。

但し手に入るのは日曜日の夜だけ。

日本からの転移者転生者がここ首都【旧宿】に

沢山いることを知り、店を出すことにしたのだった。

この店舗兼住宅は最初から用意されていた。


(俺の役目は魔王討伐なんかじゃなく

の食のサポートなのだろう)と達観していた。


(さて明日からは土の日までレベルアップの為に冒険者ギルドの

依頼を受けておこう)

店主は店じまいした。

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