第33話 われボッチ道を究めんとす

 人間関係に疲れ切った僕は思わず呟いた。

「どっか自分だけしかいない世界に行きたーい」

「その願い叶えて進ぜよう」

「誰?」

「見ての通りの神様じゃよ」


「見ての通りと言われても神様なんて見た事無いし」


「話の通じないやつだな。そういう時は

 これはこれは神様、ありがたやありがたやとひれ伏す

 ものじゃ」

[ンなこと言われたって……」

「まあええわい、自分だけしかいない所に行きたいのじゃな。

 良かろう。願いを叶えよう。で、どんな環境が望みなのか?

 剣と魔法の世界か?現代社会の未開の無人島か?

 どこかの惑星の生存実験設備の人工環境ドームの実験室か?」


「人工環境なら恐ろしい野獣もいないだろうし惑星の実験室で」

「うむうむ、他に望む事はあるかな?」

「ならば、我が家の電気機器をそこに持って行って使えるように

 して欲しい。そして自分も魔法を使いたい。

 そして食べ物に困らないようにして欲しい。こんなとこかな」


「良し判った。じゃあ転送するぞ」



次の瞬間僕は異世界宇宙の某惑星の実験室に居た。

ただ、僕の居室は元の世界の1Kのバストイレ付きの部屋だった

僕の行動範囲は直径10キロメートルのドーム内だけでドーム外は

地球の空気では無い窒素の代わりに魔素とやらが78パーセント

を占め、酸素量は21パーセントと地球とほぼ同じだが、長時間

その空気の中で暮らせるのか?ドームの中の空気を徐々に

入れ替えて人体への影響を調査するのが目的らしい。


あとは自由に暮らして良いとのことだった。

電気機器は普通に使えるので撮りためてあった

ブルーレイディスクを鑑賞する事を第一にして

過ごすことに決めた。

食料に関しては食材栽培という能力を使えるように

なっていた。


人体実験と言っても体中にコードが着けられているわけでも

無くて

ドーム内にいる限り自動的に血圧、体温、心拍数などが

測定され、記録されて何処かにデーターを送られるのだそうだ

。それがどこなのかは僕が知る必要は無いとのことだった。


明日は食料栽培の能力の確認をしようと思う。

兎に角この惑星には人間は僕だけしか居ないのだから

ボッチ道を満喫するのだ。



続く

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