第2話 化かしあい騙しあい

 狐が言った。

「なあ狸。僕と君とどっちが人間を上手く騙せるか勝負しないかい」

「面白いね。で、騙す相手はどうする?」

「ほら、あそこ。あの川で何か探している女がいるだろ。あいつにしょうぜ」

「ルールは?」

 あいつ、人間にしては可愛い顔しているから、結婚の約束を取り付けたほうが勝ちって言う事でどうかな?そして最後に僕たちの正体を明かすのさ。どうだい?」

「解った。公平に2人同時に始めようぜ」


「「お嬢さん何か落とし物かい?僕たちが探してあげようか」」

「あら素敵な男性が二人も。ありがとうございます。実はこのピカピカ光る石を集めているの」

「僕たちが集めて来るから沢山持ってきたほうと結婚してくれる?」

「まあそれはとても嬉しいです。それじゃあ私はせめてものお礼に弁当を作ってくるわ。明日の今頃ここで落ち合いましょう」


 人間の女の子があまりにも綺麗だったので、狐と狸は化かすという目的を忘れて

 本気で彼女と結婚したいと思って必死でぴかぴか光る小石を集めて回った。


 次の日昨日の場所で落ち合う。

両者、同じくらいの量の大粒の砂金の山が有った。


「まあ凄い量!まず、ご飯にしましょう。稲荷寿司はお好き?」

『好き好き好き大好き!!」

 だらだらとよだれを流す狐は耳としっぽが出ているのも気が付かず稲荷寿司に

 かぶりついた。

「きゃ狐!だ、誰か来てー!」

「何だなんだどうした!

 と、鉄砲を構えた大男が現れた。

「ギャー」猟師だー!!」

 狐は慌てて逃げて行った。



「あなたは狐じゃないわよね」

「うん。狐じゃないよ」

「それじゃあ狸そばでも作りましょう」

「ぎゃーごめんなさい。もう騙さないので食べないでー!」

 狸は自分が料理されるのかと思って狸に戻って逃げて行った。


「まあこんなに沢山の砂金ありがたいわね。あなた。これ運んで頂戴」

「悪い女だなあ。初めから狐と狸が化けてるのを知ってて砂金を集めさせてたんだろう」

「あら女が男を騙すのって当り前じゃないの。あんただって私に金の心配はさせないって私を騙して結婚させたじゃない。所詮この世は化かしあい騙しあいよ...

人間の女に騙される狐と狸って修行が足りないのよ」

女はケラケラ笑った。


 その村の狐と狸は子孫に

「人間の女は怖い生き物だ。決して化かしてやろう等と考えるんじゃないぞ‼」

 と伝えたそうな。


 どっとはれ(どっと笑え)

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