第35話 われボッチ道を究めんとす デザート編

 今日はまだ行っていないドームの南の突き当りを探索する。


 ドームの南端付近は南国の気温だった。

 バナナが生っていた。パイナップルも有った。マンゴーも

 生っていた。

 もしかしたら北に行ったら北の果物が……。


 数種類のリンゴが生っている。


 このドームはデザート天国だ。


 そして自室付近の温暖な気候にはイチゴだったり

 サクランボ、梨、桃等々多くの果物が自生している

(自生と言っていいのか?)


 シャインマスカットなどは栽培で入手出来る。



 はっきり言って食に関してはここは天国であることは

 間違いない。


 そうこうしているうちに100年経った。ここの空気の

 魔素が僕の身体を健康にしてくれてるようだ。


 ボッチ大好きな僕にとって100年は幸せな時間だった。


 その幸せな時間が脅かされる事件が起きた。


 僕の隣りに新しいドームが出来たのだ。


 そのドームには1人の女性が住んでいた。


 その人が

「初めましてお隣に越してきたばかりの村雨遥です

 宜しくお願い致します」

 と挨拶してきた時に思わず「はい、北山時男です宜しく」

 と挨拶をかえしてしまった。魔が差したとか思えない。

 翌日から僕に付きまとってくる。


 僕が食材栽培しているところをドームの

 外から見られていたのだった。


「北山さんお一人で暮らしているんですか?」

「ええまあ」

「それはいけませんね。どうでしょう私と一緒に

 暮らしませんか?この惑星には私たち2人だけなので

 私たちがアダムとイブになるんですよね」

「嫌です!」

「ええー!!私って女の魅力無いですか?」

「あのねえ僕たちお互いを全然知りませんよね。

 なのにどうして一緒に暮らすっていう考えに

 なるんですか?」

「一目惚れです。北山さん生活力が有りそうですし

 男と女が直ぐ傍にいるのにバラバラに暮らすなんて

 不自然です。人間は1人では生きていけないじゃないですか」

「僕は1人で100年生きていますよ。それに、人間の

 居ない所に行きたいと神様にお願いしてここに来たのに

 今更他人と暮らすなんてまっぴらごめんですよ。

 諦めて帰ってください」

「可哀想。100年も一人ぼっちだったんですね。

 でももう大丈夫ですよ。私が一生おそばにいますから」

「いや、だから、僕は1人が良いんです。もう、帰って下さい」


「いいわ。又明日来ます。その凍り付いた心を

 私がきっと溶かして上げます。身も心も溶かして差し上げますわ」


「駄目だこいつ、自分の考えを他人に押し付けるタイプだ更に

 僕の【食材栽培】能力をとことん利用するつもりだ……良し、

 逃げよう」


 その夜僕は自分のドームごと収納魔法で収納して

 飛行魔法で新天地目指して旅に出た。



続く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る