第27話 追放されし者たち①

【竜のねぐら】。ここは冒険者達の宿であり食堂兼酒場である。

そこの一角にSランク冒険者パーテイーの【雷鳴の覇者】の

メンバーが集まっている。

リーダーのゲッス、剣士。魔法使いのマリー。聖女のフランソワ

、斥侯から補助魔法使いまでこなす俺ピーターの4人だ。

ゲッスが言った。

「ピーターお前は今日でこのパーテイーから追放する!」

内心(とうとう来たな)と思うがわざとオロオロした感じを

演じて見せる。

「な、なんでだよ。なんで追放されなきゃならないんだ?」

「言わなきゃ分らんか、この無能者が」

「そりゃ言われなくちゃ分らないよ」

「お前、今日のダンジョン攻略で一匹でも階層主を倒したか?」

「いや、俺が倒したら、余計な事をするなって言うじゃないか」

「煩い煩い、とにかくお前は邪魔なんだよ!今直ぐ出てけ!」

「何言っても無駄みたいだな。俺の代わりにする女の子を見つけたか」


「ああ、そうだよ。お前の10倍強くて役立つ子だ!

「何の役に立つんだか、夜の役に立つってか?本当に最低な男だな。分かった出ていくよ」

「最初から素直に出てきやいいんだよ。あとそれから、ポーションは皆置いていけよ」

「なに!ポーションはお前たちが毎夜毎夜イチャイチャうっふんあっはんしてる間に俺が薬草を集めて作ったものだお前らに渡す義理は無い」

そこへフランソワが口をはさむ。

「ピーターが作ったなんて噓よ。私薬屋で同じものを売ってるのを見たわ」

「ああ、それは会計を担当しているお前が

俺の取り分を誤魔化して自分の為の堕胎薬を買いに行った時か?」

「誤魔化してなんてそんな!言いがかりよ!」

「ギルドのナタリーさんに確認取ってる。ギルドで出した

俺の取り分より実際に俺が貰った分が金貨1枚分は

少なくなっていることはな

いいか。薬屋で打ってるポーションは俺が薬屋に卸しているんだよ

噓だと思ったら薬屋に確認すれば良い」

「ええい、もういい。ポーションは退職金として呉れてやる!

その代わりに腰の剣を置いていけ」

「馬鹿かお前。この剣はこのパーテイーに入る前から俺の所有物だ!いいかよく聞け、この剣は持ち主を選ぶ。弱い者には手に取れないし弾かれる。欲しかったら俺に勝ってみろ。勝つことが出来たら呉れてやろう」


「良し良いだろう河原の広場に行っていろ、俺もすぐ行く」


「良し直ぐ来いよ」俺はゲッスに背を向けて歩き出す。

後ろに殺気を感じて、振り向くとゲッスがナイフを投げるのが見えた。

俺はそのナイフを素手で掴み投げ返した。

ナイフはゲッスの左手の甲に突き刺さった。

「ギャーイデデデデッ」

今度は魔法使いのマリーが俺に向けて火魔法を撃ってきた。

俺はそれを消滅魔法で打ち消して逆にこちらに向けている両手に

、初級魔法のフアイヤーボールを発動させた。

「きゃー熱い熱い熱い。フランソワ助けてー!」


これが本当にSランク冒険者パーテイーの冒険者なのか?

目撃した者たちは目を疑った。

卑怯にも後ろから不意打ちを仕掛けておいて自分達がやられている。

「ざまあねえな」


俺は奴らに言った。

「お前らはいつも俺の支援魔法で【身体強化】【速度上昇】【魔力増加】【攻撃力上昇】を掛けていたんだよ。

おまけに敵の魔獣には【攻撃力低下】【速度低下】【防御力低下】のバフを掛けていた。お前らの真の実力は精々Cランクがいいところだ。判ったか。勘違い野郎ども!」


俺は酒場のドアを開けてその場を後にした。

俺は酒場を出た所で狼獣人の可愛い少女とすれ違った。


■■■■■■■■


「遅くなりましたー」

酒場のドアが開いて元気の良い狼獣人の可愛い子が入ってきた。

「あ、いたいた、ゲッスさん今晩は」

「あ、ああ」

「今日から【雷鳴の覇者】パーテイーにお世話になります。ベルです」

「ああ、よく来たなまあそこに座れ」

「はい、あれ、1人足りない、あのうピーターさんはどちらに?」

……

……

……

「ああ、彼ならそいつらに追放されて出て行ったよ」

客のひとりが教えた。

「どっちが追放されたのか判らんがな」「確かに」


「ええーーー!私憧れのピーターさんと一緒に冒険出来ると思って【雷鳴の覇者】パーテイーに入ろうと思ったのに!」

「さっき出て行ったばかりだぞ。?」

「じゃあさっきの人が!ピーターさんが居ないパーテイーなんて居る意味が無いわ。サヨナラ」

獣人の子はさっさと居なくなった。

彼女をハーレム要員とするつもりだったゲッスは打ちひしがれたのであった。


続く

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