第46話 別冊 じいじの昔話

じいじが小学生の頃だ。近所に同級生の男の子が引っ越してきた。その子の家の前は広い空き地で、その子の家では白いウサギを飼っていた。そのウサギの目は本当に赤かった。物珍しくてちょくちょく見に行った。餌をやろうと空き地の雑草をむしって行くと

その中には蜻蛉草とんぼぐさが混じっていて、「これは食べさせたら駄目だ」と、その子に𠮟られた。何でも水分が多くて

うさぎに水を飲ませてはいけないのだと言った。

蜻蛉草は本当は露草と言うのだそうで、じいじはそれを信じて

間違って毒の草を与えて死なれたら嫌でその後はウサギ小屋に

近付くことはしなかった。そうこうしているうちにその子はまた転校していった。大人になって本当に露草を食べさせたら駄目なのか調べたが良く分からない。水を飲ませたら駄目だというのも

水道水に含まれている塩素が駄目なので浄水器で濾過すれば良いのだという説もあった。


良太ももしも生き物を飼うことに成ったら、しっかり調べて、解らないことは知ってる人に訊いて飼うんだよ。

後で後悔しないようにな。



そう言えば、町なかの幼稚園で鹿を飼っている所が有ったなあ。近所のちょっと裕福なうちの子が通っていたんだ。

最初に鹿を見た時の感想は(鹿って臭いんだ)だった。その匂いは餌に置いて有る大豆の実を採った残りの殻の匂いだったのかも知れないけれど、じいじの記憶には鹿は独特な匂いがする事が

強く残ったもんじゃった。

奈良には沢山鹿がいるのに匂いは気にならないのか今でも気になっているのじゃよ。もしも良太が奈良に行くことがあったらじいじに感想を教えておくれ。頼んだよ。


完了

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ショートショート短篇(時空を超えて 他)はこれにて完了です。これまで有難う御座います。

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ショートショート短篇集(時空を超えて 他) 霞千人(かすみ せんと) @dmdpgagd

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