第10話 少女瞳の冒険② 派生能力

王都に着いた私は冒険者ギルドの訓練場でギルドマスター

さんと戦おうとしています。


冒険者登録する時に倒したオークを買い取ってもらえないか

訊いたときに

「噓つけお前なんかがオークを倒せる訳が無い!」と

絡んできた男が居ました。

この男は一体私の何を知っているのでしょうか?


「良し俺が君の実力を確かめてやろうじゃないか」

とギルドマスターが言ったのです。


「おねがいします。1度はっきりさせた方が今後絡まれないで

済むでしょうから」

「うむ、良い根性だ。訓練場に行くぞ獲物は何を使う?剣か?」

「剣でも弓矢でも手裏剣でも格闘でもいけます」

「またまた大ぼらを吹きやがって!!」

「そこの人うるさいですよ!じゃあ貴方から掛かって

いらっしゃい。私は武器を持たない素手で手加減してあげる

殺しはしないから怖くないでしょ」

「このガキ許さねえ!」

男は両手剣を振りかざして突っ込んで来ました。

(やっぱり遅い)

私はささっと避けて腹に拳を当て前のめりになった首筋に

手刀を落としました。男は気を失ってしまいました。

手加減したのに呆気なかったです。


「凄いな嬢ちゃん。可愛い顔して大したものだ」

可愛いさと強さは関係ないと思うのですが、王都では関係

有るのでしょうか?


「よーし俺も素手でやろう。女の子でも手加減しないぞ」

「はい」


ということがありまして今ギルマスと構え合っているのです。

「良し来い!」


流石にギルマスです。隙がありません。なので、

私はギルマスの前に出ている右足に小刻みに蹴りを入れます。

「ええい、小賢しい」

と言って右拳を突き出そうとします。

(違う。これは見せかけで左拳が来る!)

何故かそう感じました。

私は左拳を避ける為にギルマスの頭上に飛び上がります。

そのまま頭に踵を落としました。

「参った」

ギルマスが負けを認めました。

「しかしさっきの君の動きはまるで俺の作戦を読んだような

動きだったな。しかも頭への蹴りも手心を加えていただろう

合格だ。普通はFクラスからだが、ギルマス権限でEランクで

登録させよう。君なら直ぐにDランクになれるぞ」


見ていた人たちから歓声が上がりました。

「オークは何処においてある?今すぐ取りに行くぞ」

「あ、それなら置き場所に案内して下さい。取り出しますので」


「君は収納持ちか?」

「は、はい」


解体場に案内されて無事オークを売ることが出来ました。

「ほほう!見事な切り口だDランクでも良かったかな」

ギルマスがボソッと言いました。


『能力【近視】の派生能力【動体視力】のレベルが3に

上がりました。

【思考読み】のレベルが2に上がりました。

派生能力【鑑定眼】が使えるようになりました』


またあの女の人の声が聞こえました。


どうやらギルマスの考えが分かったのは【思考読み】の

お陰のようです。相手の動きが遅く感じるのは

【動体視力】のせいみたいですね。


明日は薬草採取の依頼を受けて【鑑定眼】の効果を

確かめたいと思います。

もしかして【近視】と言う能力は凄く良い能力なのでは

無いでしょうか。



         続く

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