零理へのプレゼント
『この公園の松の木の下に、小学校一年生の時に宝物埋めたんだ。』
「宝物を埋めたの?」
『そうだ。それ、零理にプレゼントしたいんだけど、受け取ってくれるか?』
「僕が貰っていいの?」
『零理に持っていてもらいたい。死んだやつのものもらっても気持ち悪いだけかもしれないけど。』
優斗は、急に寂しそうな顔をした。
「そんなことない!嬉しい!嬉しいに決まってる!優斗お兄ちゃんとの思い出を忘れないように、大切に持っていると約束するよ!」
一生懸命に気持ちを伝えようとしてくれる零理に、優斗はとても嬉しい気持ちになった。
『零理は、俺の本当の弟みたいでかわいいな。ありがとう零理、掘り出すまで見守っていようと思ったけど、もう時間みたいだ。』
見ると、だんだん優斗の体が白く透けてきていた。
「大丈夫。この公園には松の木は一本しかないから。僕、全力で掘るよ。絶対掘り当てるまで掘り続けるって約束する!」
『ありがとう、零理。俺、短い生涯だったけど、結構幸せだったかも。そう思えたのはお前のおかげだ。』
優斗は、満足そうな笑みを浮かべた。
「優斗お兄ちゃん今ならまだ大丈夫。間に合う。安心して。」
何が間に合うのか、具体的には分からない。でも、優斗お兄ちゃんのことが見えるように、優斗お兄ちゃんと話せるように、得体の知れない感覚がそう僕に訴えかける。
『うん。大丈夫。俺にも今なら分かる。』
「うん。大丈夫!優斗お兄ちゃんに出会えて嬉しかったよ。お兄ちゃん、ありがとう!プレゼント絶対見つけるからね!大切にするからね!忘れないよ、お兄ちゃん!」
零理は、一生懸命気持ちを伝えようとしている。
そんな零理を見て、優斗はとても嬉しそうに笑った。
『ありがとう、零理。零理にで会えて本当によかったよ。ありがとうな、零理。元気でな!』
「うん!お兄ちゃん大好き!」
『俺も!それじゃ、もう行くわ。』
じゃあな!そんな声とともに、優斗は、白いモヤのように広がり、ふわっと柔らかい風とともに消えた。
「いってらっしゃい。優斗お兄ちゃん。いつかきっとまた会えるといいね。」
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