赤い缶

零理は、シャベルを持って公園に来ていた。

松の木の前に立つ。

「よし!僕、頑張る!」

松の木の根元をシャベルで掘り出した。


ザクザク ザクザク ザクザク ザクザク……


休むことなくシャベルを動かし、木の周りを半分くらい掘り返した頃、

コツッ

シャベルの先が、何か固いものに当たった音がした。零理は期待いっぱいの顔になる。

「きっとここだ!」

シャベルをポイっと放り投げると、今度は素手で丁寧に掘っていく。どのくらい時間がかかったのかわからない。でも、目の前に、赤い蓋つきの缶が姿を現した。その赤い缶を、土の中からそっと取り出す。

それから、零理はブランコに座り、赤い缶を膝の上にそっと乗せた。

「優斗お兄ちゃん、開けるね。」

もうこの世にはいない優斗に許可をとる。

そして、そっと赤い缶の蓋を開けた。


そこには……。

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