出会い
気がつくと、ここに立っていた。
ここにいれば、また圭太が通りかかるはず。
そしたら伝えるんだ。とても大事なことを…
伝えるんだ…
電信柱の影から、〇〇公園の方をじっと見つめる。
圭太が、ここを通るはずなんだ。
ああ、見逃さないように、一瞬でも目を瞑りたくない。
俺は、瞬きさえうらめしく思っていた。
そこへ、背後から声がした。
「ここで何をしているの?」
突然話しかけられ、驚いて声のした方を見ると、黒いランドセルを背負った少年が立っていた。
『はい?』
いきなりで驚きすぎて声が裏返ってしまった。
すると、その少年は、
「こんにちは。お兄さん、ここで何をしているの?」
俺の目を、まっすぐ見て話している。
ここ数日、誰からも無視されていた俺は、今の状況が信じられなかった。
『お前、俺が見えるのか?』
自分でも不思議な質問だったが、ここで圭太を待っている間ずっと思っていたことが、口をついて出てきた。
「見えるよ。」
ニコッと笑いかけてきた。
『こ、声も聞こえるのか?』
「うん。聞こえるよ。」
『本当に?』
「本当だよ。お兄さん、ここで何をしているの?」
俺は、信じられなかった。
いや、これは普通のことなんだが……。
俺は、一体何を言っているのか。
そして、自分の声が届くことが、こんなに嬉しくて安心するものだとは思わなかった。
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