誕生日プレゼント?
「あ…あぁ…うぅ………」
うめき声しか出てこない……。涙が溢れて止まらない。息が苦しい。優斗に会いたい!!
「優斗……優斗!!!」
圭太は、思わず膝に乗せていた紙袋に力が入り、危うく潰してしまうところだった。
「おっと、危ない危ない。」
そうだ。まだ箱みたいなのが入っていたな。
壊れた水道みたいに、止まることを忘れた涙が、視界を悪くしている。
そっと、紙袋から手のひらくらいの大きさの箱を取り出す。
「!?」
これって、百円のチョコ?俺が、小さい頃大好きだったお菓子。
裏を見ると、メッセージが書かれていた。
―圭太、誕生日おめでとう!俺たちずっと一緒だ!寂しくないぞ!―
永遠の仲良し、優斗より
汚い字でそう書いてあった。
「これ、もしかして誕生日プレゼントかよ?小学生でももっとマシなの贈るだろう?」
しかも、俺の誕生日全然違う月だし。優斗らしくて、それがとてもおかしくて、今度は大笑いしていた。
泣きながら笑いも止められなくて、息ができない。
「こんなの…。笑っちゃうだろ、バカ優斗―!俺たちずっと一緒だ!一緒だぞ!俺たちはずっと永遠の仲良しだー!!バカヤロー!!!」
圭太は、天を見上げ、優斗に向かって叫んでいた。
その隣には、優斗の優しく穏やかな笑顔があった。
『圭太。お前と友達になれて本当に幸せだ。もう隣にはいられないけれど、俺はいつでもお前のそばにいる。いるよ。それ、受け取ってくれてありがとう。』
優斗は、圭太をそっと両腕で包み込むように抱きしめた。
それから、隠れて見守っている零理を見た。
『零理、お前のおかげで大切なものを圭太に渡すことができた。それを見届けることもできた。本当に感謝している。』
「ううん。優斗お兄ちゃんが頑張ったから、圭太さんに伝わったんだよ。僕は見えるだけ。話ができるだけなんだ。もっと大きくなったら、もっと上手に話を聞いてあげたりできるのかな。僕も頑張るよ。」
『今でも十分頑張っていると思うぞ。零理。俺の弟。俺、お前のこと可愛くて大好きだぞ!』
「僕も、優斗お兄ちゃん大好き!話をしてくれてありがとう!」
『零理、もう一つお願い聞いてくれるか?』
「何?僕にできること?」
『そうだ。お前にしかできないことだ。』
優斗は、とびきりの笑顔で零理を見たのだった。
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