俺、やりたいこと分かったぞ!
次の日、零理はまた俺のところへやってきた。
「こんにちは、優斗お兄ちゃん。」
『こんにちは、零理。』
俺は、なぜかこのやりとりが、今日で最後だと感じていた。
「優斗お兄ちゃんが本当にしたいことって何?」
『俺のしたいこと。』
俺のしたいことは決まっている。昨日圭太と会って、圭太と話して思い出した。まあ、圭太が一方的に話していたんだけど。でも、圭太の話を聞いてはっきりと思い出したのだ。
『圭太の大事なものを圭太に渡したい。』
「圭太さんの大事なものを、優斗お兄ちゃんが持ったままなんだね?」
『そうだ。そして、できれば、圭太に誕生日プレゼントも渡したい。』
「プレゼント?」
『ああ、もう買ってあるんだ。圭太の大好きなお菓子を。』
「わかった。それはどこにあるの?」
『それは、俺のカバンの中だ。あの日背負ってたリュックサックの中。』
「わかった。」
うーん。
俺の話を聞いてから、零理は考えている。
『零理、どうした?』
あんまり唸ってばかりいるから、聞いてみた。すると、
「僕に何ができるかなと思って。優斗お兄ちゃんの願いを叶えたい。でも、見ず知らずの僕が、優斗お兄ちゃんちに行って、そのリュックから圭太さんに渡すはずだったものを持ってくるのはとても難しい。どうしたらいいだろう。」
うーん。
零理は、また頭を捻って黙り込んだ。
本当にこいつはいいやつだな。
俺も考えなくちゃいけない。
うーん。
2人で頭を悩ませていると、
「ここで何やっているんだい?」
それは、小さな花束とオレンジジュースを持った圭太だった。
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