第23話 モフモフ島の決戦?

 曇天の空。シトシトと小雨が降ってきた。

 地上に上がり乾いていた暗黒機械メカのエイのような暗黒生物部分の肌が、降ってきた雨により再びヌメヌメと湿り気を帯びてくる。

 僅かな雨音、僅かな波音しか聞こえない静かなモフモフ島の海岸線。


 僕らは静けさを破るように、メカパウンド介護型に取り憑いている暗黒機械メカへ向けて、宣戦を布告する。

 気合いをいれるためにも、まずはいつもの挨拶だ。


『ゴガオオオン!』


 暗黒機械メカは僕らの雄叫びに反応した。


『ギュイイイイイイイイインンン! ギュイイイイイイイイインンンッ!』


 僕らが出す気合いのオーラが伝わったのか、暗黒機械メカはメカパウンド介護型への取り憑きを解除して、叫び声を発しながら僕らの方へ近寄ってきた。

 これでひとまずメカパウンド介護型は助かった。


「いくよ。ニノ」

「はい」


 僕らは近寄ってくる暗黒機械メカへツノ攻撃を敢行した。得意技の一本足スタイルのヘッドバッドだ。


 ガキイイイイインン!


 僕らは本気の本気で気合いを入れたが、ダメだった。僕らの方は頭がグワングワンとしてふらふらしてしまう。それにも関わらず、暗黒機械メカへのダメージは見受けられない。

 しかし本気の僕らは、このぐらいではめげたりしない。


「もう一度いくよ!」

「はい!」


 僕らはもう一度、渾身のヘッドバッドを繰り出した。


 ガキイイイイインン! バキバキッ!


 今度は僕らの3本あるツノのうち1本が折れてしまった。


「えっ、なに!? 折れた!?」

「ああ、ツノが折れてしまいました」


 あんなに丈夫なツノだったのに、まさか折れてしまうとは。骨粗しょう症にでもなっているのかな。


 尻尾で殴りつけても弱々しくて、効果なし。

 尻尾の炎も貧弱すぎて、効果なし。

 ツノ攻撃は効果がない上に、折れてしまった。


 僕らが何をしても現状の弱さを確認するのみ。暗黒機械メカへダメージを与えることが全くできない。


『ギュイイイイイイイイインンン! ギュイッ! ギュイッ!』


 暗黒機械メカは貧弱な僕らを完全に見下している。余裕綽々の暗黒機械は、舐めるように僕らを見たあと、至近距離から漆黒レールガンを放ってきた。


 ズバババババッッ! ズバババババッッ!


 至近距離から連射された漆黒レールガンの威力は凄まじかった。一発は僕らの脇腹を貫通し、もう一発は太ももの筋肉を抉り取っていった。

 一瞬でズタボロになった僕らは、立っていることが出来ずに倒れ込む。


『ギュイイイイイイイイインンン! ギュイッ! ギュイッ!』


 暗黒機械メカは、倒れた僕らを上から見下ろして、満足そうに鳴き声を上げている。その後、暗黒機械メカは僕らを何度か踏みつけたもののトドメは刺さずに、悠々とメカパウンド介護型の方へ歩き始めた。サイコパスっぷりが発揮されている。


 メカパウンド介護型を助けたいが、力のない僕らはもう動けない。最弱の僕らにはどうしようもないのかと思った時だった。


『ゴガオオオン!』

『ゴガオオオン!』


 2つの大きな雄叫びが聞こえてきた。この雄叫びは!


「シロとハクだ!」

「良いところに来てくれましたよ!」


 モフモフ島に僕らの子供シロとハクが戻ってきた。

 最強を引き継ぐ巨大生物シロとハク。ついに真打ちの登場だ。


 シロとハクは怒りの形相で、暗黒機械メカへ襲いかかった。

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