第25話 覚醒。最強復活?


 きたーーーーーー!!!


 覚悟を決めて起きあがろうとしたとき、僕らは白い光のようなモヤに包まれた。これは間違いなく進化の光だ。


 白いモヤに包まれた僕らは、身体の奥底からぐんぐんと力が湧いてくるのを実感する。


 キタキタキタ!!!


 ついに僕らのパワーが帰ってきた。お帰りなさいませ、僕らのパワー。

 

 僕らの身体にパワーが一気に充填された。パワーをフルチャージした僕らは、白いモヤの塊を突き破り、外に飛び出た。


 身体が軽い。久しぶりの感覚だ。白かった体表は、濃い焦げ茶に戻っている。確認せずとも全ての能力が元に戻っていると感じられる。デバフ解除だ。


『グルグガガアアン!!!』(やめなさい)


 僕らは渾身の雄叫びを、暗黒機械メカに浴びせる。

 そして雄叫びと同時に走り出し、暗黒機械メカをサッカーボールキックで蹴り飛ばす。


 僕らの蹴りを食らった暗黒機械メカは、砂煙を上げながら、砂浜をゴロゴロゴロッと転がっていく。


 僕らは痛ぶられていたシロとハクの状態を確認する。苦しそうではあるが、シロとハクともに胸部が収縮を繰り返している。まだ息はあるようだ。本当に良かった。


 苦しそうなシロとハクが下から僕らを見上げている。

 シロとハクは、暗黒機械メカを蹴り飛ばした僕らに対して、口を開いた。


『『ピヤァァァン……』』


 この状態でもシロとハクがお礼を言った。よくできた泣かせる子供たちだ。しかし感動している時間はない。


 僕らがシロとハクの無事を確かめている間に、暗黒機械メカが漆黒レールガンを発射してきた。

 一発の漆黒レールガンが僕らへ直撃するが、致命傷には至らない。


 僕らは漆黒レールガンを意に介さず、暗黒機械メカまで一気に走り寄り、得意のヘッドバッド攻撃を敢行する。

 先ほど折れたツノはすでに復活して、元々のカッコイイ3本のツノに戻っている。


 ズバァアアアアアッッ!


 カッチカチになって復活したツノが暗黒機械メカを切り裂いた。すっかり骨密度も戻って、再びツノが折れたりすることはない。


『ギュ、ギュイイイイイイイイインンンッッ』


 暗黒機械メカが叫び声をあげて、ヘロヘロになりながらもメカパウンド介護型へ向かって進みはじめた。

 メカパウンド介護型を取り込む気か。そうはさせない。


 僕らは暗黒機械メカへ歩みより、その頭を片手でグイッと掴む。さらに空いているもう片方の手で、暗黒機械メカの身体を鷲掴みにする。

 ブチ切れている僕らは、鷲掴みにしている両腕に力を込めて、黒いエイのような暗黒生物部分とメカパウンド3番機の機械メカ部分を、バリバリブチブチと引き裂いた。


 僕らは、その勢いのまま引き裂いた黒い巨大なエイのような暗黒生物部分を思い切り地面に叩きつける。コイツへの容赦はない。

 エイのような暗黒生物部分は、棘を出して最後の抵抗をしてきたが、僕らは硬い足裏で、棘ごとエイのような暗黒生物部分を踏み潰す。


 ペッチャンコになったエイのような暗黒生物部分は、すでにピクリとも動かないが、僕らは最後まで油断しない。尻尾の炎で燃やし尽くして、トドメを刺すことにする。


「ニノ! 尻尾の炎、いくよ!」

「はい。最大火力ですよね?」


「当然!」


 僕らは全力で尻尾の炎を噴射した。


 ボッゴオオオオオオオオオオオォオォ!!!


 完全復活した尻尾の炎。尻尾の先から噴出する青白い業火が、エイのような暗黒生物部分を焼き尽くす。怒り心頭の僕らは、消し炭すら残さない。綺麗さっぱり消滅させた。

 暗黒機械メカごとき完全復活した僕らの敵ではない。


「ふぅ、すっきり」

「はい。やりきりましたね」


 完全に消滅させて僕らは満足。やりきった。


 僕らが暗黒機械メカを倒したのを見て、ノックス中尉ファイン少尉が隠れていた岩陰から姿を現す。2人に怪我はないようだ。


 しばらくして電磁波パルスの影響がなくなり、メカパウンド介護型が再起動した。

 再起動したメカパウンド介護型だったが、ボロボロになったメカパウンド3番機を目にして、再びその動きが静止した。


 少しの時間が経ったあと、メカパウンド介護型にノックス中尉とファイン少尉が声をかけ、1機と2人は、メカパウンド3番機に最後のお別れをした。

 ボロボロのメカパウンド3番機は、修復が出来る状態ではないので、僕らが丁寧に燃やして、モフモフ島に墓標を立てた。


 それから毒の影響が心配だったシロとハクだが、数時間後には紫色のアザもなくなり、先ほどから元気に動き回っている。ぐったりしている間、うっすら白くモヤっていたので、進化して毒耐性でもついているかもしれない。知らんけど。

 そして気がつけば、いつの間にやら巨大エビを捕まえてきて、バクバク食べているので、どう見ても心配はないだろう。


 暗黒機械メカには腹が立ったが、とにかくシロとハクも元気に生きているし、その他にも大きな被害はないし、まあヨシとしておこう。


 ついでと言っては何だが、どさくさに紛れて、僕らも完全復活したことだし、全て結果オーライだ。


 いつのまにか雨が止み、雲間から明るい光が差してきた。雨上がりのモフモフ島、僕らの目に入るもの全てがキラキラと輝いている。

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