第24話 暗黒機械の逆襲?

 モフモフ島の海岸線で、活動を停止したメカパウンド介護型へ取り憑く暗黒機械メカ

 その暗黒機械メカへ、僕らの子供シロとハクが襲いかかった。


『グルグガガアアン!』

『グルグガガアアン!』


 雄叫びをあげながら、シロがメカパウンド介護型から暗黒機械メカを引き剥がす。引き剥がした暗黒機械メカへ、ハクが間髪入れずにツノをズブリと突き刺した。流れるような連携だ。


 ハクにツノを突き立てられた暗黒機械メカは、苦しそうな鳴き声をあげつつも、身体を左右に振ってハクを振り払う。


『ギュ、ギュイイイイイイイイインンンッッ』


 暗黒機械メカの不気味な鳴き声にも動じずにシロとハクは、暗黒機械メカの前後にまわり込み、尻尾を2匹同時にフルスイングする。


 グシャリッ!


 暗黒機械メカは、前後からフルスイングされた尻尾に挟まれて、押し潰された。

 尻尾によるサンドイッチ攻撃を受けてヨロヨロしている暗黒機械メカに、シロとハクは前後から尻尾の炎で追撃する。


 ボワッッ!! ゴオオオオオオオオオッッ!!


 業火に襲われた暗黒機械メカは悶えて苦しむ。


『ギュ、ギュイイイイイイイイインンンッッ』


 暗黒機械メカは、シロとハクの連続攻撃に対して、苦しそうなでもあり悔しそうでもある鳴き声をあげた。


「おぉ、強い!」

「すごいですね」


 僕らはシロとハクの息のあった猛攻を見て感嘆する。


 まだまだシロとハクは攻撃の手を緩めない。ツノを突き刺し、尻尾で殴りつけ、業火を浴びせる。

 シロとハクの身体は、まだ僕らより一回り小さいので、一撃の威力は小さいようだが、その分を息のあったコンビネーションで攻撃力不足を補っている。


 暗黒機械メカは、シロとハクの猛攻によりズタボロになっていく。いよいよ2匹の猛攻に耐えきれなくなた暗黒機械メカが、ついにその場に崩れ落ちた。

 倒れた暗黒機械メカは、うつ伏せのまま、ピクリとも動かない。

 それを見てシロとハクは、全体重をかけた踏みつけ攻撃を繰り出している。


「これならいけそうだけど」

「あと少し頑張って欲しいです」


「そうだね、だけど暗黒巨大生物の底力は侮れないよ」

「はい、私たちも酷い目にあいました」


 僕らは、倒したと思い込んだ暗黒巨大生物に復活されて、逆に殺されそうになったことがある。そのときの悪夢が蘇る。


 暗黒機械メカを快調に踏みつけているシロとハクだったが、その様子に異変が起きる。踏みつけていたシロとハクの足に、鋭い棘がザクッと突き刺さったのだ。

 気がつけば暗黒機械メカの尻尾から鋭い棘が出現している。あの形状はエイの棘だ。


 シロとハクが突き刺さった棘の痛みに驚いて、暗黒機械メカから距離を取る。


「エイの棘だ! 毒があるかも! 不味い!」

「あぁ、シロとハクがっ!」


 見た目通りにエイの棘なら、毒があっても不思議ではない。これは非常に心配だ。


 僕の心配は的中し、シロとハクともに棘に刺された箇所が紫色に変色している。しばらくしてシロとハクは痛みに耐えきれずに倒れてしまった。

 倒れたシロとハクは、痙攣まで引き起こしている。


 その横でうつ伏せに倒れていた暗黒機械メカがゆっくりと起き上がる。あれだけの猛攻を受けたのに、本当にしぶといヤツだ。


 起き上がった暗黒機械メカは、毒によって動けなくなったシロとハクを痛ぶり始めた。

 サイコパスっぷりを発揮して、じっくりねっとりと攻撃している。今までの鬱憤を晴らしているかのようだ。


 暗黒機械メカは、じわじわとシロとハクを痛めつけ、自分が最強だと言わんばかりに自分の力を誇示している。


 僕らはあらためて現状を整理する。


 暗黒機械メカは、このままシロとハクを痛ぶり続けて、最終的には殺すだろう。その後は、メカパウンド介護型に取り憑いて、そのまま取り込み一体化してしまうに違いない。

 さらにはモフモフ島から脱出が難しいノックス中尉とファイン少尉まで標的にするかもしれない。


 反撃しようにもメカパウンド介護型とアルティア共和国防衛軍は、電磁パルス攻撃によって封じられ、僕らの子供シロとハクは毒に侵され動けない。

 この現状を打破できるのは、間違いなく僕らしかいない。

 要介護になってしまった僕らだけれど、引退するにはまだ早いはず。


 ノックス中尉やファイン少尉は、笑顔で僕らに安心をくれた。

 メカパウンド介護型は、毎日僕らの生活を助けてくれた。

 人類の皆さんは、愛の詰まった5兆円でマッサージチェアを贈ってくれた。

 シロとハクは、いつも楽しそうにして僕らに元気をくれた。


 もう十分にパワーは溜まっているはずだ!

 今ここでパワーを使わずして、いつ使うのか!


 覚悟を決めて起きあがろうとしたとき、僕らは白い光のようなモヤに包まれる。


 きたーーーーーー!!!


 これは間違いなく進化の光だ。

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