第15話 みんなで温泉旅行?

 今日はモフモフ島にシロとハクが顔を見せている。シロとハクは、僕らのために、またまた巨大エビを捕まえて来てくれた。

 今日のシロとハクは、大変そうにしながらも3匹の巨大エビを運んで来てくれた。

 1人1匹ずつということだろう。優しいし賢い。


『ピヤァァァン!』(ありがとう)


 僕らはシロとハクにお礼を言って、巨大エビを頂く。

 シロとハクも巨大エビをそれぞれ1匹ずつ頬張っている。成長期なのか凄い勢いで食べている。


「シロとハク、凄い食べっぷりだね」

「はい、美味しそうに食べてますね。エビが好きなんでしょうね」


「そうだね、いつもエビを捕まえてくるね。偏食なのかな」

「どうなんでしょう。美味しいものは、たくさんあるのに勿体ないですね」


 僕らはシロとハクにもっと色々なものを食べて欲しいなと思い、何か良い方法はないかと思案する。


 そんな様子をメカパウンド介護型は、少し離れた位置で見守っている。親子水入らずとか思っているのだろうか。よく出来た控えめな機械メカだ。


「そうだ。ジャピア王国の温泉にみんなで行こうか」


 ジャピア王国の近海に多くの熱水噴出孔があって海水が温かい場所がある。その場所のことを、僕らはジャピア王国の温泉と呼んでいる。

 その付近には巨大タラバガニが生息していて、とても美味しい。


 そんな場所なので、僕らの身体にも良さそうだし、シロとハクに巨大タラバガニの美味しさを知ってもらえるし、ベストではないかと思えてきた。


「それはいいですね」


 僕の提案をきいて、ニノの表情がパアッと明るくなった。

 このところずっとモフモフ島にいたので、動き回るのが好きなニノには、ストレスが溜まっていたのかもしれない。


「2泊3日の温泉旅行だよ」

「はい。楽しそうですね」


 モフモフ島からは少し遠いけどシロとハク、それにメカパウンド介護型の付き添いがあれば、道中の心配はないだろう。

 そうと決まれば、さっそく出発だ。


 僕らは起き上がり、伸びをする。


 メカパウンド介護型は、そんな僕らの動きを見逃さない。メカパウンド介護型は僕らの少しの動きを見ただけで、遠出をすると察したようだ。

 さすがはメカパウンド介護型、僕らが遠出をするときの仕草を見切っているようだ。

 遠出を察したメカパウンド介護型は、省エネモードを解除して、自力で大型補助バッテリーを装着し始めた。抜かりがない。


 僕らは浜辺をのそのそと歩くと、メカパウンド介護型に続いて、シロとハクも付いてくる。

 メカパウンド介護型と違って、シロとハクは何も考えていないだろう。なんとなく僕らについて来ているだけだと思うが、それで良い。


 僕らを先頭にして、シロとハクが2列目に続いてくる。それを見守るように最後尾をメカパウンド介護型がついてくるという隊列で、ジャピア王国方面へと向かう。


 今から僕らが向かうジャピア王国は、アルティア共和国と同盟国である島国だ。

 僕らは以前、ジャピア王国の島を壊滅させた暗黒巨大生物と戦い、とても苦戦はしたものの、最終的には勝利した。

 そんなことがありジャピア王国は、僕らに対してとても有効的に接してくれる。

 僕らがアルティア共和国とソーヴォイツ連邦という超大国の大艦隊に包囲されて困っていたとき、ジャピア王国が率先して仲裁に努めてくれた。今も変わらず仲が良く、友好国の中でも筆頭格だ。


「いやあ、ジャピア王国の温泉も久しぶりだね」

「はい。とても楽しみです」


 そう言ってニノが笑っている。久しぶりの遠出にニノもニコニコ顔だ。

 どんな表情でも可愛いが、笑っているニノは特に可愛い。僕は見ているだけで癒される。


 そうして僕らは元気に泳いではいるのだが、いかんせん遅かった。思ったよりも進んでいない。

 このペースで夜までに着くのだろうか。


 ゴボボボボッ! ザババババッ!


 それを察したのか、メカパウンド介護型が加速して、僕らをグイグイと押し始めた。

 さすがメカパウンド介護型。僕らの行き先をジャピア王国と判断して、最適なコースとペースを計算してくれたのだろう。

 僕らは徒歩から電動機付き自転車に乗り換えたかのごとく、軽快に進む。これでもう安心だ。

 僕らはグングンとペースを上げて、夕方前にジャピア王国の温泉に到着した。


 ジャピア王国に到着してもメカパウンド介護型は休まない。すぐに巨大タラバガニを3匹確保してくれ、お食事タイムが始まった。

 僕らが言い出しっぺなのに、完全に接待をしてもらっているようだ。申し訳ない気持ちもあるけど、とても楽しい。


『ピヤァァァン』(ありがとう)

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