第13話 まさかの最新鋭機?
僕らは今、モフモフ島で休養している。
今のデバフ状態が一時的ものなのか、恒久的なものなのかは分からないが、出来ることと言ったら、前借りしてしまったパワーを溜めるしかない。
どうせ元人類の僕には、理解の及ばない不思議な身体だ。考えたところで分からないから、出来ることだけをする。
食糧は、シロとハクが狩って来てくれる。
ただ忘れっぽいのか、飽きっぽいのか、それとも忙しいのかは分からないが、毎日は来ない。
「うーん、シロとハク、毎日は来てくれないね」
「はい。ちょっと悲しいですね」
「忘れちゃうのかなぁ?」
「そうかもしれませんね。根気が無さそうです」
「まだ子供だしね。仕方ないか」
「そうですよ。優しい性格には間違いありません」
「そうだね、頼ってばかりいないで、巨大イカを獲りに行こうか」
「はい、そうしましょう」
今日はシロとハクが来てくれないので、僕らは自力で巨大イカを狩りに行く。
僕らはモフモフ島の周辺を探すのだが、今日はなかなか巨大イカが見つからない。僕らはモフモフ島から離れた場所まで行き、やっと巨大イカを1匹見つけて捕獲した。
「やっと狩れた。さっそくモフモフ島へ持って帰って食べようか」
「はい。島でゆっくり食べましょう」
僕らは巨大イカを押しながら、のんびりとモフモフ島へ泳いで戻った。
狩りに出発してから、かなりの時間が経ち、モフモフ島の近海へ戻ってみると、そこにはアルティア共和国の大型空母が停泊していた。
「あれ、空母がいる。珍しい。何かな?」
「何でしょうね」
僕らは停泊している大型空母の脇をすり抜けて、モフモフ島の浜辺へ到着する。
すると前方の陸地に、モフモフたちに囲まれた何か大きな物体が佇んでいる。
「ん? あれはメカパウンド?」
「
「人影? ああ、いつものようにノックス中尉とファイン少尉だね」
僕らはのそのそと歩いて、メカパウンドの側まで行った。さっそくノックス中尉が軽口を言ってきた。
「よう
その発言を聞いて、すかさずファイン少尉がツッコミを入れる。
「失礼ですよ、ノックス中尉。パウンドさんだって好きで、ヨボヨボなんじゃありません!」
ファイン少尉もヨボヨボという部分については、否定していない。やはりファイン少尉からもヨボヨボしていると思われているようだ。
まあ確かにヨボヨボしている。
そんなことより、2人はメカパウンドを引き連れて、何をしに来たのだろうか。
少し疑問系の雰囲気で、挨拶してみる。
『ゴガオオオン?』(こんにちは?)
イントネーションを変えた新型だ。伝わるかどうかはともかく暇だったので、開発していた。
そんな僕らの細かい芸を気にも留めずに、ノックス中尉は来訪のわけを話し始めた。
「今日は介護
ん? なんだって? 介護
さらに続いてファイン少尉が紹介してくれる。
「衰弱してしまって生活が大変そうなパウンドさんのために開発した介護用の
メカパウンド介護型!?
そこにいるメカパウンドは介護型なのか。メカパウンドは、対巨大生物用決戦兵器ではなかったのか!
巨大生物を介護する巨大な
「コイツは凄いぞ! きっと
「メカパウンド4番機を介護特化型に改良した最新鋭機なんですよ!」
ノックス中尉とファイン少尉のテンションがいつもより高い。よほど凄い
ただ少し気になるのは、今の僕らは要介護の巨大生物だと思われているというところだ。メカパウンド介護型は嬉しいけれど、ちょっと複雑な気分だ。
「レーン博士が天啓を受けたように、このためのメカパウンド4番機だったのかと言っていたな」
「はい、レーン博士たちによると、メカパウンド4番機は凄く優しいAIらしいですよ。良かったですね」
いきなりのことで驚いたが、みんなの優しさが詰まった
まだどんな
「ニノ、何をしてくれる
「はい。突然でびっくりしましたけど、嬉しいですね」
僕らはこれからお世話になるメカパウンド介護型に挨拶をする。
『ゴガオオオン!』(こんにちは)
それを受けてメカパウンド4番機改め、メカパウンド介護型が挨拶を返してくれる。
『ゴガオオオン!』
気のせいだとは思うけど、僕らの目にはメカパウンド介護型が喜んでいるように映るのだった。
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