第27話 おまけゼロ?
メカパウンド介護型はモフモフ島での任務を終えて、アルティア共和国兵器開発部へ帰還した。
そしてメカパウンド介護型へ発声装置を実験的に装着することとなった。
理由は。
①今後、激しい戦闘に出すことはない。
②特殊な経験をしたAIからのフィードバック。
③最近、動きが鈍い。
さっそくレーン博士とホルダー助手は発声装置を装着したメカパウンド介護型へ話を聞きに格納庫へと向かう。
「ホルダー君、メカパウンド介護型からどんな話が聞けるのか楽しみだな」
「そうですね。しっかりと質問に答えてもらえると有り難いですね」
レーン博士とホルダー助手が格納庫で待機しているメカパウンド介護型の前に到着すると。
『レーン博士、ホルダー助手。こんにちは。この度は発声装置をつけてもらいありがとうございます』
レーン博士が質問をする前にメカパウンド介護型がさっそく話し始めた。さらにメカパウンド介護型は間髪入れずに質問をする。
『私は巨大生物パウンドさんが好きですが、レーン博士は巨大生物パウンドさんが好きですか?』
「ん? メカパウンド介護型から先に質問をされるとはな。パウンドが好きか、か……。うむ、もちろん好きだが」
レーン博士はメカパウンド介護型から先に質問をされたことに驚きながらも、メカパウンド介護型に応対する。
返事を聞いたメカパウンド介護型は矢継ぎ早に質問を続ける。
『そうですよね。どのぐらい好きですか?』
「んん? どのぐらい?」
『現在の私は常にメモリーの40%を使用するぐらい好きですが、レーン博士はどのぐらい好きですか?』
メカパウンド介護型は常に巨大生物パウンドのことを考えているほど、パウンド好きだった。
「なんと、常にメモリーの40%もパウンド好きだけで占有しているのか! ホルダー君、聞いたかね?」
「はい、レーン博士。しっかりと聞きましたよ。不思議に思っていましたが、これがメモリー不足の原因だったんですね。通りで動きが鈍いわけです」
「あまりに愛情を持ち過ぎると、ダメだということだな」
「そういうことになりますね」
レーン博士とホルダー助手はこのところメモリー使用率が想定より高く、メカパウンド介護型の動きが鈍いことを不審に思っていた。
『それであの、レーン博士、どのぐらい好きなんでしょうか?』
返事をもらえないメカパウンド介護型は、レーン博士へ返事を促す。
「ん、ああ、すまんな、メカパウンド介護型。私はまあ5%と言っておこうか」
『なるほど5%ですか。ホルダー助手はどうですか?』
「うーん、そうだなぁ。3%ぐらいかな」
『ホルダー助手は3%ですね、学習しました。それから私は、メモリーの50%を常に使用するぐらいレーン博士のことが好きですが、ホルダー助手はレーン博士をどのぐらい好きですか?』
それを聞いてレーン博士とホルダー助手は驚愕した。
「ちょっと待て、50%だと。私とパウンドを合わせるとそれだけでメモリー使用率90%なのか。それは多すぎる」
「恋する乙女レベルでメモリーを使ってますよ。まずいですね」
「うむ、少しクールダウンする機構を検討した方が良いようだな」
「ですね。このままだと、また暴走事故が起きかねませんね」
『それでホルダー助手はどのぐらいでしょうか……?」
メカパウンド介護型はおずおずと質問を繰り返す。
「ああ、ごめん、メカパウンド介護型。うーん、そうだなぁ、レーン博士も3%ぐらいかな」
「ん? ホルダー君、私とパウンドは同じなのかね?」
「えっ、あ、4%です」
「なるほど、4%か。それならば良い」
『ホルダー助手は4%ですね。学習しました。それから……』
「メカパウンド介護型、ちょっと待って」
ホルダー助手がメカパウンド介護型を静止し、続けてレーン博士へ問いかける。
「レーン博士、今日はこのぐらいにしませんか。メカパウンド介護型にこちらから質問を出来る感じではないですし。ついでに面倒な会話が多いですし」
「うむ、まあ確かにそうだな。ひとまずメモリー不足の原因も分かったことだし、日をあらためよう」
こうしてメカパウンド介護型との初の会話は終了した。
天才と言われるレーン博士やホルダー助手でもAIの制御は難しいのだった。
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