第18話 新キャンペーン開始?
驚いたことに僕ら援助するための基金団体が設立された。基金団体は、国連の運営になるらしい。
基金団体を設立するにあたっての立役者は、ジャピア王国の大物政治家であるジンシロウ氏だ。
ジンシロウ氏は『巨大生物を応援する党』の代表を務めている人物で、巨大生物を応援する党を結党する際には、僕らへ「政治家にならないか」と言ってきて、僕らを驚かせたことがある。
さらに僕らがアルティア共和国とソーヴォイツ連邦の大艦隊に囲まれた際には、国連から僕らを援護する演説をして助けてくれたこともある。
そんな行動力が飛び抜けたジャピア王国の政治家であるジンシロウ氏。ただもの凄く目立ってはいるのだが、ジャピア王国の首相ではない。恐ろしく独断専行型の人物だ。
◇◇◇
「あの番組には、色々とびっくりさせられたね」
「はい。びっくりしすぎて、途中から記憶が曖昧です」
えっ、記憶が曖昧!?
超絶記憶力のニノなのに、記憶が曖昧になるほどショックだったとは。
それを今聞かされた僕の方もびっくりだ。
「えっ、そうなの!? 大丈夫!?」
「あ、心配させて、すみません。びっくりしただけなので、大丈夫です」
そう言ってニノは、ニコッと笑う。
とりあえず今はいつものニノのようだ。もう大丈夫なのだろう。
「要介護ドネーションだって、嬉しいけど要介護だよ。ヤバいね」
「今の姿では要介護の生物と言われても仕方ないと思います……」
ニノは、僕らのヨボヨボした衝撃映像を思い出したのか、再び少しどんよりした。
僕はどんよりしたニノを見て取り繕う。
「ま、まあ、そのうち復活するんじゃないかな」
「えっ、ああ、そうですよね。早く復活できるように、しっかりパワーを溜めたいですね」
「そうそう、シロとハク、メカパウンド介護型もいるし、ドネーションも始まって、安心してモフモフ島にいられるから、きっとすぐに溜まるよ」
「はい、そう言われると、そんな気がしてきました。なんだか安心したらお腹が空いてきましたね」
そんな会話をしていると、メカパウンド介護型が巨大タコを獲ってきた。絶妙のタイミングで帰ってくるとは、さすがメカパウンド介護型だ。
僕らは衝撃の番組を観た後もいつものように生活していた。
番組から1週間が経った頃、モフモフ島へ珍しい人物がやってきた。
いや、珍しいというよりは、もの凄い人物たちが厳重な警備のもと、モフモフ島へ上陸した。
その人物たちとは。
ジャピア王国を代表して、巨大生物を応援する党のジンシロウ代表。
アルティア共和国を代表して、ボワットモワ大統領。
ソーヴォイツ連邦を代表して、エメリスキー大統領。
まさかの超大物政治家3人の登場だ。
どうやら急遽、話がまとまって巨大生物パウンド要介護ドネーションのプロモーション映像を撮影することになったらしい。
あまりの急な展開に動揺する僕ら。
それを尻目に超大物政治家3人は、以前の紛争が嘘だったかのように、僕らの目の前で談笑をし始めた。
複数のカメラマンが、その様子を撮影している。
ボワットモワ大統領、エメリスキー大統領、ジンシロウ代表。3人はいずれも大物を感じさせるオーラを纏い、ただの立ち姿がとても絵になる。
大物オーラに気圧された僕らは背景になりきり、じっとする。
「ふぅ、なんだか緊張するね」
「はい。小さな人間なのに相変わらず強そうです」
僕らはボワットモワ大統領とジンシロウ代表には過去に会ったことがあるけれど、初対面のときにも凄い圧力を感じていた。貧弱になった僕らはより圧力を感じていた。
僕らが緊張して固まっていただけなのが良かったのか、撮影は滞りなく進み、短時間で終了となった。
全くやることのない僕らと違って、多忙な3人なので当然だろう。
3人は去り際に「頑張れよ」「安心しろ」「任せろ」などと励ましの言葉をかけてくれた。良い人たちだ。
最後にジンシロウ代表が「すでに目標の半分5000億円は集まったぞ」と言っていた。
なんと、もう5000億円も集まっていたとは。
びっくりしてニノと顔を見合わせる。これは感謝感激だ。感謝の気持ちを表したいが、今の僕らに出来ることはとても少ない。
出来ることと言ったら、これだけだ。僕らは去っていく3人に向けて挨拶をする。
『ピヤァァァン!』(ありがとう)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます