第10話 【R15】衝撃の…誕生日プレゼント
まだリョウジとの仲は浅いんだと思わせる事があった。それはリョウジと僕の誕生日が10日違いだったということをお互い知らなかった事だ。リョウジの方が早い日になる。
「じゃあ1年違ってたら双子だったかもね」
リョウジがトボけた事を言う。
「まあ、誕生日祝いも一緒になりますかね」フォローを返す。
「そうだな」
「どうしますか、2人だけで何かを」
「ショウと一緒にいられたらそれでいいけど」
「それじゃあ、いつもと一緒」
「まあな、うーん。プレゼント交換なんてのもピンとこないな」
「そう思います」
「でも、せっかくお互い1年に1度なんだから、なんかやりたいな」
「はあ」
「うーん」
リョウジはしばらく考え込んだ。そして「うーん、うーん」と唸りつつ僕の横に座った。
「あのさあ、思いついたんだけど…」
妙に甘えた声をリョウジが出し始めた。何かイヤな予感がしてきた。
「オレが欲しいものがあるから、それをショウくんがオレにプレゼントしてほしい」
「おお、何が欲しいですか」
「あー金で買えるものじゃないから、オレへのプレゼント」
「はい…」
よくわからないけど、とにかく僕は誕生日の日までただ待っていたらいいのだろうか。
「それで、お互いの誕生日プレゼントという形に」
「なるほど。自分は何かをニイちゃんに与えて…何だろう」
「それは、秘密!」
イヤな予感は、それを言うリョウジの笑顔だけでは払拭はできなかった。
そして当日。リョウジの誕生日の日になった。
いつもと変わらずヘルパーさんが作った夕食と、僕が気をきかせて買ってきたショートケーキを食べるだけの、ささやかな誕生日会だ。
「ショウくんいくつになったっけ」
と切り出しからリョウジはおかしな事を言ってきた。
「今日はニイちゃんの誕生日なのに、ちなみに10日後に16歳です」
「じゃあ、オレは今日で17歳、ほとんどタメみたいなもんだな」
「リョウジ兄さんは、見た目は大人っぽいなと思う」
「そうか?見た目だけ?」
「はい」
「アハハ、身体がデカイからかな?昔から大人っぽく見られてた」
「話すと赤ちゃんみたいだけど」
「ひでえなあ」
と言いつつ笑うリョウジ。
「今日の例のプレゼントの件は…どうしますか」
「ああ、後でね後」
「はい、ではベタなショートケーキの後に」
「ベタなショートケーキ!オレ大好き」
「アハハ、良かった」
「ここに座ればいいんですか」
食事を終えた後、リョウジはプレゼントのイベントは部屋で行うとの指示の後、ベッドに座るように僕に言った。
「ありがとう。ラクにしてて」
「なんかこわいです」
「大丈夫大丈夫」
リョウジが横に座った。僕の目を見ながら。とりあえず「誕生日おめでとう」と差し障りの無いことから言ってみた
「ありがとう」
リョウジは優しく僕を抱きしめた。優しいのはいいのだけど、この後はどうなるのだろう。
「あのね、プレゼントの件…」
「はい…」
「いいか、言うよ」
かなり間をとった後にリョウジは叫んだ。
「お前のケツ、触らせてほしい!」
耳を疑った、どころではなかった。空気がグルグルまわるような感覚に襲われた。
「好きだ!お前のケツ!」
「!」
生涯でこれほど驚いたことはないかもしれない。こんなことを言われるなんて。
「ごめんな…こんな変なアニキでごめん」
「ニイチゃん」
「ずっと好きだったんだよ お前のケツ!…ごめん」
「うん、でもどこが?」
「こうなんか、なんか」
「わかった。プレゼントというのは」
「ああ、だから、ちょっとだけちょっとだけいいから、触らせてほしい」
「え」
「お前のケツに触らせてくれる、それを誕生日プレゼントということに…」
「え、普段から僕のお尻をそんな感じで見てたんですか」
「ごめん、でも頼む」
リョウジの両手を合わせて懇願する姿に、改めて僕は気がついた。僕はこの人が好きなんだと。だから受け入れよう。こんなことだったら容易いことだ。
「いいですよ。減るもんでもないし」
「いいの?ありがとうありがとう 」
「どうしたらいいですか」
「あの、うつぶせになって、ください」
こんな時だけ敬語になるリョウジが愛おしい。
さっそくベッドにうつ伏せになった。顔が見えないので恥ずかしさは少し無くなったけど、不安は消えない。
「ああ、ああ」
リョウジが興奮しているのか、変な声を出し始めた。
「やっぱりいい。こうしてじっくり見るのは初めてだから、お前のケツ!」
さっきからお前のケツ!という語尾に力が入りすぎているような。
「何がそんなにいいんですか 僕のケツ」
「いや、しまっているけどこう、なんかこうプリッと」
「恥ずかしい」
「身体は細いのに、このケツだけが」
と言ったあとに、いよいよリョウジの両手が僕の尻にそっと触れた。
「おお」
と声を発した後に手に込める力が強くなっていった。これはもう触るどころではなかった。尻の肉を掴んで、優しく撫で回して。その度にリョウジの吐息が荒くなっていくのがわかった。
今までに自分の尻をこんなに触られたことは当然なかった。この感触はどうなのだろう。リョウジの手と指が僕の知らなかった感覚を刺激している、そのことがあるのだろうか
「ああ…」
なんて声が出てしまった。
「ショウ、どうした?イヤか?」
「ううん、イヤでは…」
「もしかして、お前」
リョウジが僕の尻を指を立てて撫で回した。
「くぅ」
くすぐったいのか何なのかはよくわからないけど、また声が出てしまった。自分の声とは思えない声が。
「お前、感じてる?」
「うう」
「これが気持ちいい?」
リョウジの指が尻とその上の腰の近くまで這った。あざとい指の動かし方を学んだかのように。
「あっ」
「どうだ?」
「わ気持ち、いいよ。ああ」
「ショウ、好きだよ」
リョウジは僕の横に寝るように移動をしてきた。そして僕の首に息を吹きかけ話を続けた。その間も手は動かしたままで。
「ショウのケツの触りごこちマジでいいよ。最高。他にはない感じ」
「良かった」
「ショウは感じてたのかな?演技だったのかな」
「演技じゃないよ。ニイちゃんに触られて嬉しかった」
「ほんと、じゃあもっと触っちゃおう」
「ああ」
リョウジは僕のパジャマの下に手を入れてきて、直に尻を触ってきた。
「ダメかな?いいよね?ごめんね。いいだろう?なあ」
更に興奮度を高め、ついに膝までズボンを下ろしてしまったところでうつぶせにされた。
さすがに恥ずかしい。
「ニイちゃん、ちょっと僕」
「ショウ、嫌か?嫌なら止めるけど」
今日はリョウジの誕生日、これは僕からの誕生日プレゼントなんだ。拒否するのはダメなのだろう。
「恥ずかしいけど、今日は、いいよ。好きにして」
「ありがとう。やっぱりお前のケツすげえキレイだ」
リョウジの手が僕の尻に触れた、かと思うと軽く叩き始めた。
「やばい、お前のケツ、プルプルだな」
「えっ」
リョウジは容赦なくパンパンと尻を叩く。
「ごめんな。恥ずかしいよな。でもすげー柔らかい。ショウのケツやっぱりすげえ好き」
その手は撫でる作業に移行をした。叩かれて敏感になったのか、声が大きくなってしまう。
「ううう、ううん」
「ショウのそんな声、初めて聞いた」
「それはちょっと恥ずかしい…」
「もっと聞きたいよ」
そう言うと、リョウジはまた指を立てて、僕の尻から背中の近くまでをなぞりはじめた。
「それには弱‥ああ」
無意識の言葉に合わせて、無意識に腰が動いてしまった。リョウジはそれを見逃さない。
「ショウ、お前やらしいな。そんなに気持ちいい?」
リョウジに身体を征服される喜びと不安が同時に溢れてきてしまった。
「うう」
戸惑いの中で少し泣きそうになる僕を察してか、リョウジは僕の横に移動をして、身体を立てるように仰向けにした。
「ごめんな、ショウ。もうやめておいたほうがいいかな」
「ううん。いいよ。好きだから。ほんとうに」
「オマエ…」
リョウジは僕の尻から上半身まで優しく撫で始めた。
「オレもショウが好き。オマエのケツだけじゃなくて、全部だよ」
そう言い残すと、リョウジの手は僕の上半身まで責めてきた。背中から覆いかぶさるように。
すると、シャツの中にも手を入れてきた。
初めての感覚にまた襲われてしまった。リョウジの手が僕の身体を滑っていく。その度に鳥肌が立ち、快感も同時にやってくる。これは危険なものなのだろうか。でもこれはリョウジの手なんだと自分に言い聞かせる。
すると、リョウジの手が僕の胸あたりにたどり着いてしまった。乳首を触ってきた瞬間、僕は今までで一番大きな声をあげてしまった。無意識に腰まで同時に動いてしまうほどに。
「すげえ、オマエすげえよ」
リョウジは興奮をして、手を動かし僕の胸に触ったまま、身体を押し付けてきた。リョウジの下半身が当たる。激しく。おそらく、そこにある愛を持って。
「ショウ、ショウ、好き、好き」
リョウジは僕の耳に顔を近づけて、息を吹きかけて何度も僕の名前を呼ぶ。吐息がくすぐったい。そして何かが壊れていくのも感じた。
彼の身体が僕に当たる。その度に僕はあらぬ声を出すしかなかった。これはもしかしたら性行為なのだろうか、考えていたものとは違うけれども、お互いの身体を寄せ合い、何かを交換するというものは、その行為に近いのではないか。
しばらくすると、何か硬い物が下半身にあたったのを感じた。
「ああ、やばい」というリョウジの声の後、「悪い、トイレ」と言葉を残してベッドから立って部屋から出ていった。
僕はそのまま動けなかった。リョウジに犯されてしまったかのような気持ちになっていた。
なぜ急にトイレに行ったのか、その理由は聞くまでもないだろう。性の対象にされてしまったのか。
でも、それは僕にとっては喜ばしいことには違いない。たぶんリョウジは謝るだろう。約束のハグとキス以上にはいかないということを破ってしまったのだから。
だから、僕は軌道修正をしたいと思う。僕がやりたいことを彼に伝えてみよう。そう決意をした。
「ショウ…」
リョウジは心なしか、うなだれた感じで部屋に戻ってきた。僕は体勢を立て直して彼を迎えた。
「ごめんな。オレおかしかったし、やりすぎたと思う」
「別にいいよ」
「ありがとう」
「それより、誕生日おめでとう」
リョウジはため息をついて、僕に抱きついてきた。
「ほんといいヤツだな。ショウが弟で良かったよ」
「うん。あの…」
「どうした?」
「あのね、僕の誕生日、10日にまた僕にプレゼントがほしくて」
「ああ、いいね。何がほしい?」
「ええと、また買わなくていいもの」
「と、いうと」
「うーんと」
考えは決まっているけど、言うのが恥ずかしくて躊躇してしまう。
「あのね、誕生日の日は日曜日だから、ニイちゃんは部活は休みだよね」
「うん」
「他にその日は予定があるかな?」
「何もないよ」
「じゃあ、わかった。その日は…ずっと僕とくつ…っついてほしい」
くっついて、が上手く発音できなかった。
「え?くっついて?」
「そう。くっつく」
「こういうことかな」
リョウジは僕を更に抱き寄せてきた。
「そう。こうしていてほしい。一日中」
「こんなんでいいの?別に誕生日じゃなくてもずっとくっついていてもいいのに」
「そうだけど…誕生日だから、僕からのお願いということで」
「わかった。何だったら今からその日までずっとくっついていてもいいけど」
「アハハ。誕生日の日は特別だから」
「OK。すげえ楽しみになってきた。ショウとずっとくっついていられるなんて」
「ありがとう。僕も、楽しみにしてる」
「じゃあ!今夜もこのままくっつこう!オレの誕生日だからな」
「そうすると、ありがたみがなくなる気がする」
「うおお じゃあ10日後までおあずけかな」
「そうしたい」
「頭おかしくなりそうだ」
「大丈夫。僕はここにいるから」
「そっか、わかった。でも襲ったらごめんね」
「もうー」
こうしてリョウジの誕生日は終わった。僕の中の何かが目覚めて、暴走をし始めたのを感じてしまった、そんなリョウジの誕生日だった。
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