19話目

「……折れたのよ。」

 名倉京子と名乗る女性は呟いた。

「どこの骨です?いたみますか?」

 やっと会話が成り立ち始めた二人、太谷大治は心配そうに尋ねた。しかし名倉はきっと太谷を睨み付けて怒鳴った。

「骨折れてたら痛くて悶絶してるわよ、貴方と談笑してられるわけ無いでしょう。」

 愛想よく笑っているのは太谷だけであることは置いておいて、名倉は怒り心頭とばかりに吠えた。太谷の頭の中は?マークで一杯、何がなんだかわからない、といった顔を浮かべる太谷に呆れ、呻くように名倉京子は呟いた。

「折れたのは義足よ。」

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