11話目

「山小屋どうなってるかなぁ。」

 どうにか春を迎えた小寺先輩は小さな声で呟いた。太谷大治は意を決した。夫人に自分の考えを提案すると感謝のあまり太谷の両手を握りしめて涙をこぼした。太谷と夫人は緩和病棟の管理者に話した。

「小寺先輩を一日だけ外出させてください。」

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