27話目
山の中で太谷大治は、悟られぬように涙を拭く名倉京子を背負いながら我に返った。今こそ自分がパスを出すときなのだ。後進にボールを手渡す瞬間なのだ。
「そうですよね、小寺先輩。」
呟いた太谷は名倉を背負ったまま再び歩を進めた。
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