22話目
名倉京子の通例的なお礼を皮切りに二人の登山は始まった。太谷大治は膝への負担を減らすべく、二本の杖、トレッキングポールを両手に登り始めた。馬返しの階段を登りながら、しっかり捕まる様に声がけした太谷の声は少し震えた。
「小寺先輩、俺正しいことしてますか?」
もちろん小寺先輩の返事はなかった。その代わり名倉が答えた。
「当たり前よ。私のプロジェクトはこの山や貴方と、その小寺先輩とかおっしゃる山男さん、そして山小屋に取って素晴らしいものなんだから。そしていつか私は世界の物流を変えるのよ。」
太谷の背負子に後ろ向きに座り込んでいる名倉は饒舌ぶりを取り戻していた。
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