3話目

 太谷大治は幼少の砌からその体格に恵まれていた。彼はその成長に伴い筋骨隆々となり、それを活かしてラグビーに打ち込んでいた。中学生の時はチームメイトに恵まれず、その能力を発揮出来なかったものの、県の選抜選手としてその実力を皆の知るものとした。高校へ進学した太谷は県のラグビー強豪校に入学、初めの頃こそ自分同等あるいはそれ以上の選手を前に挫折を経験したものの、切磋琢磨が太谷の力を揺るぎ無いものに成長させた。太谷はその身体能力に物を言わせるプレースタイル、文字通り相手を蹴散らすような迫力には上級生たちさえもたじろいだ。そんな太谷の目に止まったのは彼より一つ年上の小寺先輩であった。決して体躯に恵まれてはいない小寺は、その敏捷性とクレバーなプレーで評価を得ており、二年生ながらチームの司令塔に君臨していた。多くの一年生がそうであったように、太谷も小寺先輩に心酔し、その薫陶を受け続けた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る