第22話  アレインの求愛

「ロウィーナが生まれて、本当に少ししてセレアンは、妊娠したんだ。俺の子を……少しでもロウィーナに似るように似た名をつけた。

 どっこい、お里は知れるぜ!!ロウィーナは、昔から、慎みやかで上品だったが、俺の娘は手癖の悪い上に、ないものネダリばっかりだ」


「それは、少し娘さんに失礼では……綺麗なおじょうさんではないでか」


 ドーリア城の王の執務室では、王と王の娘の義父のアレインの話し合いがされていた。


「あの子はまだ、17歳だ。気持ちの悪いことは言わないでくれ」


「でも、血の繋がりは無い!!結婚は出来るはずだ!!」


 王は、まんじりとこの男を見てしまった。

 色男ではある。

 緑の瞳がこの国の国民であることを物語っていた。

 繊細そうな手先は、腕の良い小細工職人の証だ。


 だが王も、ロウィーナが必要なのだ。

 ロウィーナの出自は決して悪くはない。


 もと、宮廷占い師を祖母に持ち、彼女は、商人と結婚して王宮を去ったはずだった。

 その彼女の娘と愛し合って、ロウィーナが生まれたのだ。


 愛した女が、自分の政略結婚のために、目の前から姿を消した時には、はらんでいたことは知っていた。

 だが、王妃になる女の手前、何もできない無力な自分を呪ったりもした。

 王妃が亡くなって、世継ぎの王子には、姉がいるという事を話しておいた。

 誰に似たのか、頭の軽い王子は二つ返事で分かったと、言っただけだった。


「失礼ながら、ロウィーナは私の姫だ。東方の神殿から、呼び出しも来ている時に変な言葉で娘を惑わせるのは止めてくれ」


「俺の娘だと言ってるだろうが!!」


 アレインは、王に唾が飛ぶくらいの勢いで言った。


「何度も言うが、そなたをそこ迄、全快させたのはロウィーナだぞ。余からの迎えも蹴って裏路地に籠って占い師として生きていたんだ」


「それの何処が悪いんだよ!!セレアンは、俺の女房だぞ!!」

「この際、セレアンが誰と結婚したかは、問題ない。もう一度言うがロウィーナは余の姫だ。この月の間には、城に呼んで教育を始める手はずだ」


 それを聞いて、アレインは真っ青になった。


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