第27話  エピローグ~ロウィーナ・エウリカ・ダイン~

程なくして、王の執務室に近衛騎士に吊るされたアレインが現れた。


「一年は、良く持ったね」


「騙しやがって!!ロウィーナは何処だ!?」


「とっくに東方の神殿に旅立っているよ。ああ、結婚もしてね。身ごもっているそうだよ」


アレインは、気が遠くなりそうであった。

だが王に言われてしまった。


「いい加減に現実を見たまえ。そなたの前には、ずっとそなたの実の娘がいたのだぞ」


「確かに」


「ロウィーナは、その名を捨てて行った。東方の地で、この王家に相応しい血筋の者との婚礼も挙げた。東方の神殿でもロウィーナは、先読み師としての腕は、有能だそうだよ」


「そ……うなのですか?」


♦️



数年後、東方の銀の森___

この世界の神の聖地である場所である。


「従兄弟婚は、我が一族でも禁止になってるんだよ。エウリカ」


「ごめんなさい、ダッドリー。どうしても、ドーリアに先読みの力を返したいの!!今の王家には、お父様以外に先読みを出来る者がいないのよ。少しでも被害が少なくなるなら、それに越したことはないわ!!どうしても避けられない運命だとしても、諦めたくないの!」


ロウィーナの名を捨てたエウリカは、神の子孫だという当主の若君に嫁いでいた。

この家は、近親婚が多い。

わざわざ、遠い血筋の姫をもらったのに、息子を姫の里に婿にやれという。


「幸い、一の姫が、下のメルクリッドと年が近いですわ。

大人しくて優しい子です。姉御肌のエステラ姫が、上手くリードしてくれることでしょう」


「それが、君の予見で視て、選んだ最良の策だというなら、僕は従うだけだよ」

「ありがとうございます」


エウリカは、微笑んだ。


♦️   その頃のアスタナシヤ


「ロジーナ、帰ったぞ~」


「はい、はい。父さん、また、飲んできたね~?」


「もお、表通りどころか、この裏路地の家だって維持できないよ!!」


「ちゃんと、働いてるだろ!?」


「働いてるそばから、酒代にしてるじゃない!!あたしには、父さんを治療院に入れるだけの占いでの稼ぎはないのよ!!」


当然の事だが、アスタナシヤの裏路地の占い師はロウィーナではないことは、いつしかバレた。

それでもロジーナは、いつかドレスを買うために、減った客にも精一杯の対応で占いをした。



(完)


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

裏路地の占い師ロウィーナ・ダイン 円香 @erisax

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ