第26話  真実

 ロウィーナが東方に去って、一年近く経過してるのに、アレインはまだロジーナのことをロウィーナだと信じていた。

 ロワィーナが東方の神殿に行くのは、確定しており変更のできない事柄であった。

 しかし、激しく抵抗するアレインに王も困り果て、ともすれば、またお酒に逃げて行くそんな、弱い父に王は、ある提案をした。

 つまり、ロウィーナのなりすましだ。それから、アレインに軽い暗示をかけた。


 初めは、お金もくれると言うので、大喜びでのったロジーナである。

 でも、ひと月で飽きた。


《姉さんに成りすましてた方が、父さんの機嫌が良いよ!!

 でも!!でも!!限界があるのよ~~!!》


 実の父にネコナデ声で呼ばれることが一番キモかった。


 それで、仕事と称して部屋に閉じこもっていたら、水晶占いの腕が上がってきた。

 客も途切れることも無くある。

 ただし、それはロウィーナ・ダインの名に惹かれて、訪れるものばかりだったが、

 皆が皆、ロウィーナが水晶占いをしていなかったという事実を知っていた訳ではない。


 半年前に、アレインが聞いて来たのだ。


「お前、水晶占いもするのか!?」


「はい、やりますよ。今は、こちらがメインです」


「へ~知らなかったな~~」


 今も、不思議に思っている様子はない。


「父さん、もう少しお金が貯まったら、表通りに家を買おうよ」


「ロウィーナらしくないな、お前はここが好きなんだろ!?」


「もう、隠れる必要がありませんもの」


「そうだな~~どうせなら、宮廷占術師だったお前のばあさんの屋敷が良いなあ」


「何年後の事!?小さな家なら買える貯えは出来たから言ったのに!!」


 ロジーナは、プンスカ怒り出した。


「お前……ロジーナだな!!家出なんて嘘か!!いつ帰って来たんだ」


「あら、暗示解けちゃったのね、姉さんを神殿に行かせるために、父さんには、大人しくしててもらおうって、王様の作戦だったのに!!」


 姉の役をこれ以上やりたくないロジーナは、吐き捨てるように真実を父に語った。


 アレインは、家を飛び出して王宮に向かった。

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