第4話  ユージィン王子の心の中


 ドーリアの第1王子、ユージィンは、気ままな性格で結構な頻度で市中にお忍びで遊びに来ていた。

 この国で淡い金髪や、王子の様な金髪が目立つ方でも無かったし、まして全てが平均的な体型だったユージィン王子が、王都に隠れるなぞ、朝飯前だった。


 父からして、自分の母と結婚する前に、街の占い師の家に入り浸っていて、その家の娘と恋仲になったのだ。

 自分に腹違いの姉がいることも知っていた。


 五年前に、自分の母が亡くなった時に、父はその人を王妃の座につけようと捜した。

 だがその人は、父の手から逃れるように亡くなっており、結婚もしていたのだ。

 だが結婚相手は、酒好きの男で、由緒ある彼女の家の占い師の道具を酒代に溶かしていたらしい。


 父は、一歳年上の姉姫の行方が気になって仕方ない様子だった。


 そんな時に、持ち上がったオアシス族長の娘の見合い話!!


《好きでもない、女とやれるかよ!!》


 何がやれるかは、さておきユージィン王子は城出を安直に決めた。


 平民服で堂々と門を出て来た。

 大通りの一角を歩いていると、そこが全面的に封鎖されて路地裏へは一人も入れないような警備がされていた。

 そこで見たことのある、馬車を見た。

 父王がプライベートに使う、見栄えのしない馬車だった。


《なんでこんな所に、親父が?》


 よく見てると、路地を覗き込んでいる少女を発見した。

 淡い金髪がこの国の女性らしく、背中の真ん中程まで伸びた軽くウェーブのある髪を後ろで1つに括っていた。

 同じ年位か!?


 ユージィン王子は、暇なのもあって彼女に声をかけてみた。


「君さあ……どうしたの!?」


 振り向いた少女を見て、ドッキン!!


 母より美しい人だった。

 大きな緑色の瞳、程よい唇の形は、塞がれたいと言っているように見えた。


「あたしの家は、この先なんだけど、この前から変な馬車が来て道を塞いでいるのよ。家に帰りたくても帰れないの」


《ラッキー!!》


 ユージィン王子は、見合いをすっぽかす相手を見つけた。

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