第19話  カミラ姫の夜這い

 ロウィーナが王城から、退出しようとした時にカミラ姫の使いが来た。


 カミラ姫の代理の中年の女性は、王都のある食事処にロウィーナを招き入れた。


「カミラ様は、王子様との結婚を夢にまで見ていたのです。

 本当の所の未来は、どうなのですか?」


「ああ……あなたが奥方様でしたか。」


 中年の女性は、顔を薄い布で隠していたが、表情が変わったのが良く分かった。


「そうですね。ユージィン王子は、あの子……いえ、王子は姫君のことは愛さないでしょうね。でも、とても子供好きの相が出ています。

 月のものを計算して、強引に王子の部屋に夜這いでもどうですか!?

 次代の王子の母として、カミラ姫を大事にしている今の王子が視えます」


 ロウィーナは、少し俯いて言った。

 クスクス笑っている。

 微笑ましい情景が視えているのだ。


 カットラー・オアシスの族長の奥方は、少し不気味さを覚えた。



 ♦



「わ~~!!」


 ひと月後のある日、ユージィン王子は、目覚めると同時に雄たけびを上げた。


 全裸で、寄り添って寝ていたカミラ姫と自分。

 断った話だと思っていた。のに、なんで~~??


「おはようございます。王子様。昨日は、激しすぎて壊れそうでしたわ」


 カミラ姫は、半分毛布から顔を出して恥ずかしそうに言った。


《恥ずかしいのは、僕の方だぞ!!誰だよ、こんな小細工をしたのは!!》


 ユージィン王子は限りなく、心の中で憤慨していた。

 だが、初めてのことで、余韻に浸りたいのか、それとも本当に腰が痛くて動けないのか、カミラ姫はなかなかベッドから出てくることは無かった。


 王子は続きの間で控えていた、侍女に沐浴と着替えの準備をするように伝えた。


 陽は結構高い。

 昨日は、姉のロウィーナが東方の神殿へ行くという話を、夜の食事で聞いたのだ。

 それを祝してとかなんとか言って、酒を盛られていたな……

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