第18話  東方からの誘い

「ロウィーナ、待ちなさい」


 城を退出しようとすると、ロウィーナは王に呼び止められた。


「何でしょうか?」


「話がある。侍従のナシオの後についておいで。一人でね」


 王はそれだけ言うと、踵を返して、奥へ行ってしまった。


「見合いを台無しにしたことを怒られるのかな?」


「あなたは、裏路地に帰りなさい。父さんが待ってるわよ」


「嫌よ~あんな汚い薄暗い路地裏の家なんて!!」


 ロジーナは、口を尖らせて言った。


「とにかく、父さんが一人で待ってるの。また、酒に走ると困るから、早く帰ってちょうだい」


「姉さんは、父さんの子じゃないの?」


 急にロジーナは、ロウィーナに言ってきた。


「違うわ」


「ジィンと姉弟ってこと!?」


 ロウィーナは、ロジーナを真正面に見て言った。


「そう、あなたとは年子だけど、母さんが父さんと出会った時には、母さんのお腹の中には私がいたし、ユージィン王子は弟にあたるの。そう言う事よ」


「ズル~い!!なんで、姉さんだけ王家の血が入ってるのよ!!」


「そんなに誇れることでもないわ」


「綺麗なドレス着て、お城で暮らせるじゃない~!!」


 ロウィーナは、このダサさ満載の妹を、近衛の騎士に預けて別れた。

 そして、侍従の後について行った。



 ♦


「東方の神殿の予見者!?私が?」


「どうやら、見つかってしまったようだね」


 王のプライベートな居間で、ロウィーナは父王と話していた。


「お断りは出来ないのですか?」


「神殿からの申し出だよ、世界の聖地の中心地から声が掛って来たんだ。

 ドーリアの先読みの力は、神殿でも重視されているんだ。

 しばらく、マーロウ王家からは、神殿に差し出せる予見者が出ていないからね。そなたを見つけて、狂喜乱舞だったらしいよ」


 王は、何処までも優しく娘に語りかけた。

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