第2話 妹のロジーナ
男が、帰ったのと入れ代わりに、ロウィーナと良く似た少女が家に帰ってきた。
足取りは、とても軽かった。
ロウィーナは、目だけで妹を追った。
「今日のお客さんは、上客のはずよ。あたしが、大通りでカモって来た客だもの。って、カードを半分も使ってないじゃん!また、お安くしたんでょ!!」
「必要無かったからよ」
妹のロジーナは、ロウィーナと良く似た顔ながら、口を尖らせて言った。
「姉さんは、甘いのよ。何処かのオアシスの族長よ。金を巻き上げてもあっちは、痛くもないのに!!」
「それでも、カードが半分で分かるような占いなど、内容が知れてるわ」
ロジーナは、面白く無さそうに言った。
「そんなだから、家はいつも貧乏なのよ。姉さんは、腕は良いのに金を取らないから!!いつまで、こんな裏路地の一角で、カード占いをやってるつもり!?あたしは、嫌!!早く表通りのお館に住めるようになりたいわ!!」
「なら、出て行けば?あなただって、占いが出来るじゃない。」
嫌なことを言ってくるなと思うロジーナである。
確かに、ロジーナにも占いの才能はあった。
祖母の遺した水晶でだったら、ある程度の事は視えていたが、不注意で水晶を割ってしまったのだ。
それ以来、相性の良い水晶にはめぐりあえてない。
話は、前後するがドーリアは、占術師の多い国だ。
王家に先読みの出来る者が多く生まれ、王都にも有名、無名の占い師を名乗る者がたくさんいた。
ロウィーナは、数少ない腕の良い占い師だったが、有名になること自体を本人が望んでいなかった。
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