第12話  水晶で見た未来

「ルイス、ナシオのコレクター部屋を見せてくれないか?」


 ユージィン王子は、ルイスにロジーナが持って来た水晶が、大きいだけの練り玉だって分かっていた。(つまり安物)

 ロジーナは、一目で安物と見抜いたのだった。

 水晶を見る目はありそうだった。


 ルイスは、仕方なく父のコレクション部屋の鍵を持って来て、王子に渡した。


 そこの部屋だけ、重厚で、盗難避けの設備がされていた。

 ガチャ__


 そこには、古今東西の骨董品が置かれていた。

 そこにロジーナが、真っ先に目に入ってきた水晶があった。

 とても、古びた水晶であった。

 透明度が高いとはいえなかった。


 ロジーナは、大切そうにその水晶を手に取った。


「あっ!それは!!」


「しっ!!ルイス。ロウィーナ、何か見えるのかい?」


「う……ん……何かが見える……靄が晴れてくれれば」


 その水晶はやや曇りがあった。


 ロジーナが水晶を持ち上げると、水晶の底の方が、クリアであった。

 そこから、父と姉の二人が路地裏の家で仲良く話しながら笑っていた。


《父さんと姉さん!?》


《なんで、こんなことが見えるの!?》


 ロジーナには、訳が分からなかった。

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