ギリシャ物語　外伝～旅のはじまり～

　こちらは「ギリシャ物語Ⅰ」「ギリシャ物語Ⅱ・前編」の前日譚にあたる物語です。

　「ギリシャ物語」の主人公を巡る人間模様、その始まりの物語。とは言え、「Ⅰ・Ⅱ」を先に読んでも、こちらを先に読んでも大丈夫です。個人的なおススメは、「Ⅰ」→「外伝」→「Ⅱ」→「外伝」→お好きなシリーズを……のループ読みです。

　何度読んでも胸高鳴る物語に、どっぷり浸ってみてください。

特に前情報もなく、『ギリシャ物語Ⅱ』から入ったため、前日譚が始まったことに、ついつい『スターウォーズ』を思い出してしまいました。

物語は『ギリシャ物語』で描かれていた登場人物たちや出来事の何故、どうしてに応えてくれるものばかり。また、たまに忘れていたことを思い出せてくれたりも……小ネタといっていいのかわかりませんが、そういう意味でもかなり読みごたえがあります。

まだまだ途中ですが、すでに『ギリシャ物語』と『ギリシャ物語Ⅱ』を読み返したくなる要素もあり、『シリーズもの』としての地位を確固たるものにする物語です。

応援コメントの中でも何度か話題になっていましたが、ギリシャ物語の本編を先に読むか、外伝の方から先に読むか……。
私は先に本編の方から読ませていただきました。

時系列的には、外伝→本編です。

つまり、ここでは「なぜ？」の部分がとても、とても丁寧に、語られています。
沢山の登場人物たちがとても魅力的でした。

ドキドキしたければ、外伝→本編
神の視点で俯瞰的に眺めたければ、本編→外伝

かな？　と私は思いましたが、どうでしょうか？

結論は、どっちから読んでも楽しめる、です。

本作品は、作者渾身の【ギリシャ物語】とそれに続く【ギリシャ物語II 前編】の
前日譚である。
　物語では或る美しい青年が生まれ故郷の
アテナイから隣国スパルタへと逃避行する
まさに『原因』となった事件を描き出す。
主人公の美しさと優しさ、そして文武両道
天賦の才が際立つが、それを支える7人の
家臣の忠誠と愛情…更には親世代の悲劇が
ここに詳らかとなっている。
　この物語を読まずして後の壮大な叙事詩
【ギリシャ物語】は語れないと言いたいが、これらは単独で読んでも充分に完成
された物語である。但し、この続きは頗る
気になり読まずにいられなくなるだろう。

作者は、フィクションであるとの注釈を
入…続きを読む

既に作者の大作『ギリシア物語』を読まれた方は、主人公が何故アテナイを後にしたのか、詳しい事情が気になるでしょう。
この作品では、その悲しい経緯が、存分に描かれています。
古代ギリシャの史実に基づく、作者の繊細で迫力ある筆致で描かれる、悲しい運命の物語を是非ご堪能下さい。
追記：悲しいお話だけでなく、個性ある登場人物たちを描いた笑いも満載ですよ。

作者様の『ギリシャ物語』シリーズは歴史ものの位置づけとして読んでもよし、恋愛ものとして読んでもよしだと思いますが、本作は、友情及び青春ものと言ってもいいかもしれません。

仲間たちのそれぞれへの思いやり、青年が大人へと成長していく葛藤や充足感。そして、隠された秘密に、読み手がハラハラすることは必至です。

是非一度お読みください。

「ギリシャ物語　Ⅰ」
「ギリシャ物語　Ⅱ」
へと続く、前日譚。それがこの、「外伝〜旅のはじまり〜」です。

作者さまが言うには、３つのうち、どれから読んでも良い、とのことです。

まず、歴史モノ？　と嫌厭することなかれ！
入念な下調べでギリシャ時代を生き生きと描かれていますが、一話の文字数は控えめ、行間も多めにあいていて、説明も完結。
つまり、とても読みやすいです。

登場人物紹介が繰り返し挟まれ、読者は、「えーと、これ誰だっけ？」と思い出す手間が省けます。
ところどころギャグっぽい会話も挟まれ、明るい雰囲気で話は進みます。
……途中までは。

主人公、ティリオンは、すごーい美男子です。優し…続きを読む

ギリシャのアテナイにスポットをあてた主人公の、楽しかった日々が悲哀へと変わってしまう物語。

本編、ギリシャ物語の前日譚です。憎めない悪役達の謀略が主人公と親友や親とのすれ違いを引き起こし、取返しのつかない事態へと発展していく。はらはらどきどきを楽しめる、そんな一作です。

『ギリシャ物語』『ギリシャ物語Ⅱ【前編】』と読み進み、外伝へとやってきました。
主人公であるティリオンは圧倒的なまでの美しさに恵まれた青年です。

神々しいまでの美貌、相手を思いやる優しさを持つティリオンに誰もが魅せられ、近臣達は心から彼を大切に想い、仕えています。
そしてティリオンを愛する人々の想いは、けして上辺だけのものではないのです。

それにも関わらず、『ギリシャ物語』の冒頭で、孤独な逃走劇を繰り広げていたティリオン。
彼を理解するのに、外伝の物語が多くのことを教えてくれます。

そして改めて、『ギリシャ物語』の世界が、登場する人々１人１人によって織られていく、精緻な物語であることを…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（100文字）