壮大な叙事詩への序曲〜ギリシャ悲劇と希望への逃避行〜

本作品は、作者渾身の【ギリシャ物語】とそれに続く【ギリシャ物語II 前編】の
前日譚である。
 物語では或る美しい青年が生まれ故郷の
アテナイから隣国スパルタへと逃避行する
まさに『原因』となった事件を描き出す。
主人公の美しさと優しさ、そして文武両道
天賦の才が際立つが、それを支える7人の
家臣の忠誠と愛情…更には親世代の悲劇が
ここに詳らかとなっている。
 この物語を読まずして後の壮大な叙事詩
【ギリシャ物語】は語れないと言いたいが、これらは単独で読んでも充分に完成
された物語である。但し、この続きは頗る
気になり読まずにいられなくなるだろう。

作者は、フィクションであるとの注釈を
入れてはいるが、非常に当時のギリシャ
文化や風俗を学ばれており、これをして
歴史書としても良いのではないかと思う。
 しかもコメントすると、懇切丁寧に背景関係性などを解説してくれるので嬉しい。
ギリシャに関心のある人は勿論、今まで
あまり身近に感じた事のない人も必見!
これは悲劇と絆と新たなる冒険への美しい
序曲である。

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