白く冷たい吹雪に紛れて、魔界は艶笑する。

戦時中の話には不思議な譚が多い。
それは多分、生死の陌間を征く残酷な
日々を否応無しに過ごさねばならなかった
所以だろうか。

祖父の語る 雪の中の怪異譚 は、冷たく
白い世界の中で、美しく温かい甘美な夢。刹那の愉悦。冷たく白い世界に灯る陰火。

まるで 雪女郎 の様な怪異譚。

因果は巡る。多くの命と引き換えにして
成り立つものは、氷硝子と見紛うほどに
脆弱で。それでも嘗ての 魔界 は
いつでも門戸を開く。

 Зимний генерал и
   Снежная женщина いつの世も

哀しく密かに埋もれては、また吹雪に紛れ
知らぬ間に、そっと寄り添っている。

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