人の闇。異界の明るい真の闇。

物語は戦時中。人命を落とすことを前提とした究極の人権侵害である戦争において、生きながらに体験する地獄が如何に恐ろしく寒々しいか、物語は克明に語ります。

そこに雪女郎の物語が混ざり込む、その景色は現世とは思えないほど明るく美しく、純白で……

人の手によるものは明るみに出ると分かります。異界のものは明るみに出るほど闇に墜ちていきます。

それは現世なのでしょうか。むしろ、それこそが現世なのでしょうか。人と異界が交わった先には恐怖があります。

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