あこがれ

作者の〝チェリーパイ〟への憧憬と実食を描いたエッセイです。

なんかそこはかとなく全体が可笑しい。
〝いまから面白いことを言いますよ？〟
という感じなのです。

作者である遠部右喬さんのエッセイの文章には戯ける人特有の雰囲気が満ちているのです。もちろん褒めてますよ。

さて。
その雰囲気だけでも感じてみませんか？
たった1,606文字で、ほっこり微笑めること請け合いです！

短いので、ネタバレにならない程度にレビュー。
気になった人は、今すぐ読んだ方が早いです。

見た事も食べた事もないチェリーパイに憧れていた筆者。
しかし、実際に食べようとすると、憧れていたばかりで、何も知らない事を身に染みて分かる話です。

憧れは理解から最も遠いのですwww。

その事が軽快で面白い文章で書かれているので、サクッと読めてクスリと出来ます。
オススメです！

私は物を知りませんので、チェリーパイが多くの物語でキーアイテムとして登場していることを存じませんでした。

そんな物語を背景に背負うチェリーパイをエッセイ筆者が知ったのも、とある物語から。するとチェリーパイは夢の如き食べ物として心に刻まれます。

初めて食べたチェリーパイは期待を裏切らない夢の如き食べ物でした。しかし……

近頃は令嬢というと「悪役」といういかがわしい形容詞がついて回りますが、ここでは古き良き高貴なお嬢様を想像願います。平民の家に生まれ、令嬢の姿を盗み見して、いつか会いたいという夢が叶えば……

これが人生の味です。

　なんと、あの「伝説のお菓子」があこがれとして描かれている。
　そこになんとも言えない数奇なものを感じ取りました。

　チェリーパイ。これは知る人ぞ知る、いわくつきのおかし。

　九十年代に社会現象となった海外ドラマ「ツインピークス」において隠れたキーアイテムとして登場し、作中人物が店でチェリーパイを食べる場面があると、その後に町では不穏な事件が必ず起こる、という「裏設定」が作られていました。（ＮＨＫ教育の『グレーテルのかまど』という番組でやってた話）

　やはりこのチェリーパイというお菓子には何かがある。

　「不思議の国のアリス」から存在を知り、チェリーパイに憧れを持った作者。そして時が…続きを読む