第1話 ストーカー

 放課後。

この放課後って響きは僕にとってはやる気をなくすための言葉だなと思う。

けどその言葉が原因ではなくてその時間帯が何かをするのに億劫にするだけの話で、得にこの話に意味がない。

今、殴りたいと思ったらそれは心の中でとどめておいてくれ。

僕は平和主義者だから、痛いのは嫌なんだ。

それはいいとしてなんでこの放課後というキーワードを出したのかというと今回の話はここから始まるからだ。

確か日付は……、正確に覚えていないから四月の頭って言っておくよ。

  とある日の放課後、一年の教室、自分の席で独りボーっとしていた。

別に何かをするわけでもなく、ただ思考の停止をし、脳を休めていた。

放課後の前、午後の授業である数学を受け、完全についていけていないせいか、春の陽気のせいかはわからないが僕はいつの間にか、深い眠りに落ちていた。

いつの間にかみんな下校をはじめ気がつくと僕は一人になっていて、話しかける相手もいない。

どうするかといったらボーっとするしかない。そして最初の説明になる。

しかし、脳を休めるといっても無駄なことは考えるだけで、いろいろと考えながら窓の外を見ていた。

このときは別に何も起きないと思っていた。

だって日常なんてものすごいことが起きない限り、変わることなんて当たり前だろ。

そのはずだったんだ。

それなのに僕は起こしてしまったんだ、行動を。

ただ窓の外を見ているだけでは何もおきない。

行動を起こさせることを決めたのは彼女の存在。

宮前此方の存在。

ふと意識をせずに窓の外を見ていたとき彼女がいた。

黒い髪をなびかせ、堂々としていて風を切る姿は美しいとも思える。

切れ長の目で綺麗な瞳は遠くを見つめている。

僕と同じ歳には到底、見えない姿。

僕の視界に見えたのは主面門から学校内から出て行く彼女の姿。

先に言っておくけど僕と宮前はここでは認識はない。

彼女の方はわからないが僕は彼女のことを知っていた。

彼女はクラスメイトでしかも一番の有名人だ。

何気なく彼女の姿を追いかけていたのだけれど、そこにある違和感を覚えた。

違和感。

例えば風呂に入っているときにふと後ろに視線を感じることはないかい?

それと同じでふとしたこと。

すぐに僕は席を立ち上がり、教室から走るように出て行った。

階段を一つ飛ばしで一気に下駄箱まで駆け下りる。途中、何か運動部の部員とすれ違い、彼らは不思議な顔でこちらを見ていたが僕は気にも留めず、そのまま下駄箱へと足を動かした。

もし、うるさい体育教師にでも見つかったら厄介だなと思いつつ、そのまま走しった。

下駄箱に到着し、靴を履き替える。

しかし、靴といってもローファーだと動きにくい。

なんでこんな機動性に優れないものを指定したのかが気になったんだけど、それを考えているほど悠長な時間はない。

 視優先は宮前此方の後を追うこと。

もしここでそれができなければ多分、重大なことに繋がる気がして内心あせっていた。

とにかく靴を履き替えるとそのまま走る。

校門を出て彼女が向かった方へと追いかける。

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