第27話 帰宅

僕と宮前は川から上がり、話し合いの結果、ひとまず家に帰ることにした。

このとき宮前の足は陸に上がると嘘のように元の二本足に戻った。

その光景は手品でも見ているのかと思うほどだった。

しかし、帰るといっても、ずぶ濡れのまま帰るわけにはいかないので僕はいろいろと考え、銀次の携帯に電話をかけ、彼を呼び出した。

理由は僕の知り合いの中で車を持っている人物は彼だけだったからだ。

彼はぶつぶつと皮肉と文句を僕に言いながらなんだかんだで、車を出してくれた。

「やっくんは本当に礼儀知らずで、最低な奴だよ。それに可愛いお嬢さんまでこんな夜中にまでつれて歩いて、君はどうかしてるよ」

そんな僕に対する罵詈雑言を彼はいいながら、タオルを貸してくれて、宮前と僕を送るために運転していた。

車内では銀次にことのいきさつを話した。

しかし、銀次は何もいわずただ聞いていただけだった。

バックミラーから彼の表情を見てみたがただ笑って聞いているだけだった。

それにしても銀次という人物は詐欺師という割にはなんだかんだでお人好しなのだ。

僕の家の前を通る前に宮前を送り届けた。

彼女は車を降りる直前、『必ず明日、説明しなさいよ』と釘を刺し彼女は帰っていった。

そして僕もずぶ濡れのまま銀次に送り届けてもらい、無事家についた。

銀次も帰る前、『あっ、やっくん。わかってるとおもうけど必ずこのお礼はしてもらうからね』と釘を刺し、颯爽と車をだし、夜の闇に消えた。

家の前で一人残された僕はポツリとたっていた。

「人気ものだな、相棒」

「そうだな…」

僕は覚悟を決めてドアを開けた。

家路に着いたのは時計の針が次の日の始まりを指していたころだった。

そして親に怒られた。

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