第11話 「言っただろう」

―――数分後、銀次は変わらぬ表情で、僕らを見ていった。

「それは考えるに僕の専門外だよ」

「専門外ってどういうことだよ?」

「そういう変わったことや変なことは嘘つけないだろう」

ことのいきさつを大雑把に話したのだが、銀次はため息をついていった。

「だからキミはその質問の内容がわかってないって言ったんだ。それに当たる相手を間違えている」

呆れたように銀次は額に手を当てた。

「わからないからお前に聞きに来たんじゃないか、銀次」

「あのね、やっくん。キミは何か事件のあるごとに僕に相談しに来るけど僕の専門は嘘とお金だ」

「出会ったときは嘘をつくために相談したじゃないか」

「最初はね。でもキミは内容、つまりその相談する中身がどんなものなのか確認したり、自分の頭で考えずに僕のところに持ってきてる」

「そりゃあ、そうだ」宮前をチラッと見るとさっきよりも、疑いのまなざしを向けてきたのですぐに目をそらした。

「本当に能天気なのか、素直なのかわからない。いいかい、仮にも僕は詐欺師だ。摩訶不思議なことはわかるわけが無い」

「確かに。でもその相談ごとの内容がオカルトだったり怪異関連だったら、誰に聞けばいい? そんな知り合い、思い浮かばないぞ」

「決まってるじゃないか、船穂君にだ」

「そういえば、そうか……」

「『そういえばそうか』じゃない。大体、いつも言っているのに何で忘れるんだ?」

「忘れていたわけじゃないけど」

「まぁ、やっくんをせめてもしょうがない。とにかくこの相談内容は僕じゃなく船穂君に当たってくれ」

そういって銀次は眼鏡をはずした。

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