降臨魔術
第19話 魔術大会に挑む事を決めた劣等生
新章開幕です!
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2人が新たな魔術を作ると決めてはや1週間。
いつも通り森の中の聖域に2人は来ていた。
今は昼なのだが、片や教師に出なくてもいいと思われている降魔と、片や優秀すぎて何もする事がない双葉はこうして毎日ここへと足を運んで魔術の開発に勤しんでいたのだが……
「分からん……」
「無理ね。掴みすら分からないわ」
2人はほとんど同時に声を漏らす。
あまりにも難しすぎた。
どちらも学生としては飛び抜けた知識を持っているが、召喚魔術を作ったのは世界でも有数の超天才たちだ。
召喚魔術の魔術式はあまりに緻密すぎて何処を弄れば違う効果を発動させられるのかなどが全く分からなかった。
「……まさか召喚魔術がこんなに難しいとは……。ある程度は予想していたんだが……」
「そうね、多分私たち2人なら幻影魔術までなら弄れるはずだけどこれは無理ね」
2人はここ一週間ほどずっと召喚魔術の魔術式を調べていたのだが、その構造の殆どが【
2人は既存魔術には詳しいが喪失魔術には全く詳しくないため、どこがどの魔術の仕組みを利用しているのか分からないためだ。
「取り敢えず叔父さんが帰ってくるまで諦める?」
双葉は自分達だけでは埒が開かないと思ったのかそんな事を降魔に提案する。
降魔は少し残念そうにするが、
「確かに俺たちじゃこれ以上無理だな。そもそも全く分かっていないわけだが」
そう言うしかなかった。
こうして僅か1週間で新たな魔術を作ると言う目標に壁が立ちはだかることとなった。
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次の日、降魔は寮を出て久し振りに学園に向かっていた。
ここ1週間ちょっとは常に森の中と寮を行ったり来たりしていたので、全くと言っていいほど学園に登校していなかったのだが、今やる事がなくなってしまったため、双葉と話して、取り敢えず叔父さんが帰ってくるまで学園の授業に出ようと言うことになった。
降魔は教室に入るのを億劫に感じるが、覚悟を決めて扉を開く。
すると教室にいる十数名全員が此方を向いた。
そして一瞬教室が静寂に包まれたかと思うと、何事もなかったかの様に友達と話し始める。
降魔は何も質問されないことを不思議に思ったが、質問されるのは疲れるし面倒なので丁度いいと思い直し席に着く。
(久し振りに学園に来たが、昔の様な雰囲気に戻ったな。俺としては嬉しい限りだが、少々不思議だ。まるで意図的に誰かに俺に関わるなと言われたみたいだな……)
降魔はこんな事を考えていたが、正しくその通りだった。
双葉が昨日のうちにこのクラス全員に『八条降魔には前と同じ様に接しなさい。どうなるかは……分かっているわよね?』と、まぁ簡単に言えば脅していたのだ。
ここに居るのは全員名家の出身でもなんでもない一般市民。
到底逆らえる様なものじゃない。
側から見ればどう考えても双葉が悪い様に見えるが、双葉は聴いていたのだ。
召喚魔術を解析していた時に、降魔はこんな事を呟いていた。
『……あんなに囲まれるくらいなら前の方がマシ……いや前がよかったな……』
と。
これを覚えていた双葉は、元の原因は自身と炎児にあったため、こうして双葉が働きかけていたと言うことだ。
降魔がよく分からないが元に戻ったことに気を良くしていると、ガラガラガラと扉が開き、担任である
「それでは今日の
魔術大会———。
それは学園の全生徒が、自身の得意な分野に出て、その中で1位を競う学園の中でもだいぶ大きな行事だ。
その名前を聞いてクラスの皆んなのテンションが下がる。
それも当たり前のことだろう。
このクラスはいわばこの学園の落ちこぼれを集めた教室だ。
なのでこう言った競技系はみんな恥をかくので嫌がるのだ。
勿論降魔も例に漏れず嫌そうな顔をしている。
(今年もやってきたか……正直いい賞品はあるんだが、俺には必要のないものばかりだしなぁ……。せめて
降魔がそんな事を思っていると、明美が少し興奮した様に話す。
「なんと! 今回の分野ごとの賞品は、滅多に見られない——それこそこの学園で唯一見られない、【喪失魔術】が詳しく描かれた書です! 私も見た事がありません! そんな物を持ち出す事は出来ませんが、図書館で優勝者のみが借りれる様になります!」
降魔は本気で勝ちに行く事を決めた。
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はい、と言う事で第2章開幕です。
まぁ開幕早々躓いている2人ですが、丁度おあつらえ向きの行事がありますね。
一体喪失魔術書は誰のものになるのか……。
楽しみにしていてください。
面白い! まぁまぁかな? 続きが読みたい! などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!
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ではではまた次話で。
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