第5話 優等生と劣等生の教室
朝早くの教室には既に降魔が席に座っていた。
ちなみに昨日あれからどうなったかと言うと、結局誰も来なかった教室で夜遅くまで寝ていた降魔は急いで寮に帰った。
そして今日も何事もなく1番に登校したと言うわけだ。
(あー、眠い……1時間目は確か魔術理論みたいなやつだしサボるか……。流石に眠すぎて全く何をする気にもなれない)
早速降魔は1時間目に何をするか決めた様だ。
まぁ普段していることと大して変わりはしないのだが。
降魔は机に突っ伏して再び寝始める。
そして降魔が夢の世界に旅立った頃には他の生徒がゾロゾロと教室に登校してきた。
みんながみんな昨日の双葉のことを話題に盛り上がる。
「ねぇねぇみんな見たでしょ!? 龍川さんやばいよねっ!」
「私も見たわ。最早嫉妬なんか湧かないくらいに力の差を見せつけられた感じで、逆に清々しいわ」
「ほんとそれな!」
女子は双葉の実力に湧き、
「なぁ双葉さんすごすぎだろ」
「確かに凄いけどそれより美人すぎな!」
「確かに! あれは今まで見たことないくらい美人だったな! そこいらの女優とかアイドルよりも断然綺麗だった!」
「何でお前たち容姿で盛り上がってんだよ」
「「だって男はそう言うもんだろ!?」」
「違いない!」
「「「あははははははは!!」」」
男子は双葉の容姿に湧いていた。
しかし双葉の話題で盛り上がると必ず降魔も話題に上がっていた。
「あんなに凄い人がいるのにさー、このクラスには何であんな落ちこぼれがいるのかなー」
髪を金髪に染め、ピアスをつけていたり制服を着崩しているいかにもギャルな生徒、
「確かにね! あいつもう18歳なんでしょ? 幾らなんでも留年しすぎ~!」
「それな~。しかもこの年になってまだまともに召喚獣も召喚できないとか有り得なくない!?」
そんなギャルたちの会話がキッカケとなり、Z rank全員で降魔の陰口を言う。
降魔が起きていたら間違いなく聞こえているので陰口と言えるのかは分からないが。
しかしそんなこと寝ている降魔は知るわけなく、もし聞いていだとしても双葉の話題以外は興味を持たないだろうが、結局先生が来てみんなが静かになるまで起きることはなかった。
そして降魔が寝ている姿を見ている人物が1人いた。
「むぅ……早く気付いてくれないかなー鈍感な降魔君っ」
それは先程1番初めに降魔を貶した加恋だった。
しかそんな彼女が一体何を考えているのかは、まだ分からない。
~~~
一方双葉の在籍しているS rankの教室では、Z rankとはまた違った意味で殺伐とした空気となっていた。
教室の真ん中では双葉といかにも不良っぽい男子生徒がガンを飛ばし合っている。
そして少し離れたところでは、男女四人が固まって苦笑いをしていた。
「貴方は何が言いたいわけ?」
双葉が一切怯まずに男子生徒に言う。
すると男子生徒は少しイラつきながら、
「お前が気に入らないんだよ……! 超級召喚獣2体と契約しているからって調子に乗るな!」
双葉にぶつけるが、双葉はどこ吹く風の様子で言葉を返す。
「調子に乗る……? 私はただ彼のマナ操作は貴方よりも上手いと言っているだけよ。私と同格かもしくはそれ以上ね」
「それはナチュラルに俺をお前の下だと見下しているじゃないか!」
「私は事実を言っているだけで別に貴方を見下してなんか居ないわよ?」
「こんのアマァァ……ッ!」
今にも戦闘が始まりそうな一触即発な雰囲気だが、その原因は昨日の召喚魔術の授業についてだった。
少し前に戻り双葉が教室に登校すると、まずチャラそうな男子生徒と物静かそうな女子生徒と言うなんとも奇妙な組み合わせの2人が駆け寄ってくる。
「おっ、学園の話題の的が登校してきたぞ! 双葉~昨日俺は休んでて見てなかったんだけど、超級召喚獣と契約したんだって? それも2体目? もう凄すぎて言葉も出ないよ!」
「そう言いながら言葉出ているじゃないか馬鹿
「それは言わないお約束だよ、
明と呼ばれたチャラ男は冬美と呼ばれた見た目文学少女にツッコまれ文句を言っている。
そんな2人の会話を間近で聞いていた双葉は、少し頬を引きつらせていた。
(私は登校早々何を見せられているのよ……。無視して座ろうかしら)
そんな事を考えていた双葉だったが、実行に移す前に冬美に話しかけられる。
「それにしても双葉は凄いね。まさか学園で超級を召喚する人が出るなんて。一体何年ぶりなんだろう?」
「猫被ってるね冬美」
「あんたは黙ってろ」
「イデッ!?」
冬美はからかってきた明の頭を叩く。
その行動で既に猫被っていると証明しているような物なのだが。
それを見ていた双葉は、2人はこう言う者だと自分に言い聞かせて2人で喧嘩している横を素通りする。
双葉が席に座ると、新たに3人ほどの生徒が入ってきた。
1人は羽織姿で腰には刀が差してある、侍っぽい男子生徒。
そしてその隣で腕を組んでいる、制服で茶髪の元気そうな女子生徒。
そんな2人を微笑ましげに見ている黒髪赤眼の美男子。
その3人は仲良く教室に入り楽しそうに会話している。
一見何ともなさそうな3人だが、双葉にとってははまたもキャラの濃いそうな人たちが来たと少しゲンナリしていた。
まぁそれも仕方ないことだろう。
ついさっきキャラの濃い人たちに話しかけられていたのだから。
そして3人が教室に来てすぐにとうとう今回の喧嘩の原因である不良っぽい男子生徒が教室に入ってきた。
その男子生徒の名前は
神風家は、双葉の家である龍川家と並ぶ名家の長男だ。
昔から何度か顔合わせをしている双葉は炎児のことが苦手で極力近づきたいない相手の1人である。
その理由はと言うと……
「おい、双葉。お前昨日超級召喚獣を呼んだんだってな? 本当なのか?」
「……ええ、本当よ。先生にも測ってもらっているわ」
「そうか。まぁだが俺の方が強い召喚獣を呼び出せるがな」
そう言ってマウントを取ってくる炎児。
こう言うところが双葉が炎児を苦手とする理由だ。
「それで一体何の様なの? 貴方がなんの用もなく私に話しかけたりしないと思うのだけど」
双葉が訝しげに炎児に問う。
すると炎児は睨みながら双葉に顔を近づけて言う。
「あまり調子に乗るなよ? お前は所詮名家でも下位の龍川家の家筋なんだからよぉ」
双葉はそれで相手の意図がわかった。
(ようは私にこれ以上目立つことをするな。したら家がただじゃおかないと……。ふーん、私を脅すのね)
双葉はニヤッと笑いながら炎児を煽る。
「ならそんな名家の上位の息子が落ちこぼれと呼ばれている生徒にマナ操作で負けているのはどうなんでしょうね?」
「……あ?」
その瞬間教室の気温が数温下がった気がした。
「お前必ず潰す。そして落ちこぼれに会わせろ。いや今から会いに行くか」
園児はそう言うと教室を出ようとする。
「ちょっ!? 待ちなさいよ!」
双葉は自分のせいで降魔を巻き込んでしまったことに申し訳なく思い、炎児を追いかけてZrankの教室へと向かった。
2人の邂逅は近い。
---------------------------
面白い! まぁまぁかな? 続きが読みたい! などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!
また、フォロー、感想、応援コメントなどの報告を頂けると作者の励みになります。
ではではまた次話で。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます