20:決闘者(ネタ回)

 小学生に人気な遊びと言えばTCGだとか、ポケッドラゴンだったり、まあ、子供向けゲームってのは……。


「結衣ちゃん……わたしの手札は12枚……! 天国の飛翔龍は手札の枚数だけ攻撃力がアップするんだよ……」

「や、めて、まけたく!」

「飛翔龍でダイレクトアタック! ヘブンズアタック!!」

「負けました。楽しいデュエルでした……」


 頭のいい子が強い。

 さくらとのデュエルに負けてなぜだか俺のことを睨みつける結衣。いや、小学生環境だとは言え増殖する野次馬とコンビネーションディーラー入れてない君が悪いよ……。


「明広……座りなさいよ……」

「どうして?」

「この中で一番弱そうだから……」


 プッチンと何かが切れる音がする。

 さくらがにこやかに席を譲ってくれてデッキをセットする。

 いや、俺もデュエルマイスターは好きでカード集めてるんだよね……。


「あたしのエクストラプレイヤーデッキで蹂躙してあげるわ!」

「いや、デュエルする前に自分のデッキ教えちゃあかんでしょ……」

「「デュエル」」


 じゃんけんをしようと右手を出すが鼻で笑われて先行を譲られる。なんだこいつ?カードゲームが先行有利だって知らないのか……。


「俺のターン……そっちのデッキ何枚?」

「40枚よ! そんなデッキ分厚くしてプププッ……素人かしら……」

「隣の庭整理を発動、デッキから20枚墓地に送ります」

「ひょ?」


 デッキから20枚墓地に送る。内容はまずまず、じゃあ、はじめますか……。


「ドラゴンフレンド・ライラを特殊召喚、墓地にあるドラゴン族チューナーが三枚以上の時に特殊召喚することができる」

「おお、ドラゴンフレンドデッキ……殺意たかいなぁ……」

「ドラゴンフレンド・ライラの効果発動。このカードが召喚、特殊召喚に成功した際に墓地のドラゴカードを装備カードとして装備することができる。墓地のドラゴ・クールノを装備、ドラゴ・クールノの効果発動、このカードが装備カードになった時、特殊召喚することができる。ドラゴ・クールノを特殊召喚。このタイミングで墓地にあるドラゴ・ストライクの効果を発動。自分のドラゴと名のつくカードが特殊召喚に成功した際にこのカードを手札・墓地から特殊召喚することができる。そして手札からドラゴ・バスターを特殊召喚、このカードはデッキのドラゴと名の付くカードを一枚墓地に送ることで特殊召喚することができる。このタイミングで速攻魔法ドラゴ・ダンシングを発動、このカードは特殊召喚されたドラゴと名の付くカードの枚数までドローすることができる。俺が特殊召喚したドラゴカードは三枚、デッキから三枚ドロー、このタイミングで手札に加えたドラゴ・ソニックの効果発動、このカードが魔法・トラップカードの効果で手札に加わった時に守備表示で特殊召喚することができる。ドラゴ・ソニックを守備表示で特殊召喚。ドラゴ・ソニックの効果発動、自分の場にドラゴチューナーが二体以上存在する場合、デッキからレベル4以下のドラゴンフレンドカードを特殊召喚することができる。俺はドラゴンフレンド・ジョーダンを特殊召喚、ドラゴンフレンド・ジョーダンの能力発動、墓地のドラゴと名のつくカードを一枚除外してレベルを倍にする。ドラゴンフレンド・ジョーダンとドラゴ・クールノをチューニング、エクストラデッキからドラゴ・フリーダムをシンクロ召喚」

「攻撃力3300のモンスター!?」

「ドラゴ・フリーダムの能力発動、自分の墓地にあるドラゴと名の付くカードを可能な限り装備する。装備されたドラゴ・スターの効果発動。ドラゴ・スターが装備カードになった時、このカードを破壊することによってドラゴモンスターをアドバンス素材を必要とせずに特殊召喚することができる。俺は手札からドラゴ・レジェンドを特殊召喚。ドラゴ・レジェンドの効果を発動、自分の手札のドラゴカードを二枚捨てることによってデッキから任意のカードを一枚手札に加えることができる。俺は手札のドラゴ・クールノ二枚を捨ててデッキから一枚選択。手札に加えたモンスターカードをセット、ターンエンドです」

「どんだけ時間かけんのよ!? 目が回るじゃない!!」


 結衣がドローしてモンスターを召喚する。


「このタイミングでドラゴ・フリーダムに装備されたドラゴ・ウィングの効果発動。このカードを墓地に送ることによって場に伏せられているカード一枚を表側攻撃表示にすることができる。効果を発動して伏せてある時間の超越者を表側攻撃表示に、このカードのリバース効果、このカードが表側表示になった時、手札をすべて捨てて自分、相手のターンを強制的に終了する」

「……ねえ、それ禁止カードじゃない?」

「一枚制限」


 結衣がマジマジと時間の超越者を手に取り眺める。そんなのお構いなしに自分のターンに移行する。


「俺のターンドロー、ドラゴ・フリーダムの効果発動、墓地にあるドラゴカードを除外することによって相手のモンスターゾーンのカードを除外することができる。俺はドラゴ・クールノを除外し、エクストラプレイヤー・バットを除外。そしてドローした装備カード、ドラゴの覚醒槍をドラゴ・フリーダムに装備、このカードは装備されるドラゴカードのレベル✕100ポイント攻撃力をアップさせる。よってレベル10のドラゴ・フリーダムの攻撃力は4300! ダイレクトアタック! フリーダムショット!」

「くっ、でもライフはまだ3700ある!」

「場にあるすべてのモンスターでダイレクト――ゴハッ!?」


 鋭いビンタで吹き飛ばされる。

 いや、俺にデュエル申し込むからこうなるんだよ……ドラゴンフレンドデッキは普通に環境テーマだし……。


「なんで明広もデュエル強いのよ!? 普通に考えて弱いタイプでしょうが!!」


 この後にさくらとデッキが尽きる程のバトルをしたのは別の話。

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