熱い決闘者達のバトル
季節は九月の中旬、夏の暑さが落ち着き静かな風が吹くその場所、近所のカードショップのプレイルーム……。
俺とさくらは互いの
「俺の魂のカード……ドラゴ・フリーダムを返してもらうぜ!」
「私のデッキに勝てるかな? 今日の為に特別に組んだ最強のデッキ……」
「メタデッキか……いいぜ、フリーダムを取り戻すには必要な試練だ」
互いにスリーブに収められたデッキを置き、静かに見つめ合う。
さくらは結衣のようなポンコツデュエリストとは違う! この勝負、ドラゴンフレンドデッキは使えない。だからこそ、俺はこのデッキを使用する! フリーダムが使えないドラゴンフレンドは展開力と妨害力が小さくなり過ぎるんだよ!
「わたしは【ドラゴ・フリーダム】を賭けるよ!」
「俺は【流々ウララ】のシークレットを賭ける!」
「「デュエル!」」
互いにダイスを振って出目を確認する。
さくらが4、俺が6。
相手のデッキを確認する為に……。
「後攻を選択するぜ!」
「いいのかな、わたしのデッキが先行OTKだとしても……」
「俺のカードを信じる心、デッキは答えてくれる!」
前回さくらが使用していたのは【天国の飛翔龍】を軸にしたアドバンスデッキ。だが、あのデッキは確実に舐めプ用のガチデッキじゃない。じゃあ、使ってくるのはドラゴンフレンドデッキのような環境デッキ……何デッキでくる!?
「私のターン、何かありますか?」
「いや、大会準拠じゃないていいから……アニメっぽくはじめたのに大会の殺伐としたデュエルは嫌ですよ……」
「ふふっ、そうだね。カードショップのお兄さん(香ばしい)とデュエルした時に巻き戻し【マインド・ブレイク】使われて警戒してるんだ……」
「大丈夫だから、普通にプレイしようぜ」
先行にドローはない、彼女は手札をギラリと鋭い眼光で睨みつけ、小さく回る! そう告げて一枚の魔法カードをセット――まさか!? ダークマジシャンデッキ!?
「ダークマジシャンとは恐れ入った。ドラゴンフレンドと肩を並べる最強のテーマか」
「そうだよ、明広くんと戦うなら環境デッキを持ってこないと……」
「いいぜ、環境デッキの凄さを見せてもらおうか!」
「手札から魔法カード、【マジシャンの下準備】を発動! このカードの効果でレベル4以下のマジシャンと名の付くカードをサーチ、そして私が手札にくわえるのはラッキー・マジシャン。このカードがカードの効果で手札に加えられる時、特殊召喚することができる「手札誘発! 増殖する野次馬を発動」止まらないよ! 【ラッキー・マジシャン】の効果で手札からマジシャンと名の付くカードを一枚特殊召喚、現われよ! 【ダーク・マジシャン】! ダークマジシャンの召喚にチェーンして速攻魔法、師弟の絆を発動! このカードは墓地・デッキに存在する【ダーク・マジシャンガール】を特殊召喚することができる。私はダーク・マジシャンガールを特殊召喚! ここで墓地にあるマジシャンの下準備の墓地効果発動! このカードを除外することによってマジシャンと名の付くカード一枚のレベルを1~3まで上げることができる! 私はラッキーマジシャンのレベルを4から6にアップ! ラッキー・マジシャンとダーク・マジシャンガールでオーバーレイ! 現われよ! 真実を見届ける魔道士!! 【ビジョン・マジシャン】!!」
チッ! 野次馬以外の手札誘発が引けなかった……ウララか夏ウサギが引けていればビジョン・マジシャンを破壊出来たが……40枚デッキでここまで来ないか……!
「ビジョン・マジシャンのオーバーレイユニットを二つ取り除くことによって、場に存在するマジシャンと名の付くカード一枚を墓地・デッキから特殊召喚することができるよ! わたしはデッキからダーク・マジシャンを特殊召喚! 現われよ、漆黒の闇を纏いし魔道士……ダーク・マジシャン!」
「くっ、二枚目の野次馬を使用!」
「ふふっ、ウララとウサギが引けないようだね……わたしはダーク・マジシャンをオーバーレイ! ランク7! 【レジェンド・オブ・マジシャン】を召喚! このカードの召喚時効果で手札の魔法カードを相手に見せ、そのカードの枚数までドローすることが出来る! わたしの魔法カードは2枚! 2ドロー」
手札は溢れる程、だが、ウララもウサギも来ない……俺が二つのカード大嫌いだからカードが答えてくれないのか!? 許してくれ……。
「サレンダーするなら今のうちだよ? レジェンド・オブ・マジシャンは効果の対象にされず、戦闘以外では破壊されない……それにユニットを一枚取り除くことによって破壊を免れる……! 流々ウララのシークレット! 嬉しいな~」
「まだデュエルは終わってないぜ! カード、デッキは俺に答えてくれる!!」
「そう、じゃあ、カードを二枚伏せてターンエンド」
「行くぜ! 俺のターン!!」
――カンコンッ!
来たぜ……ピン刺しで入れておいた最強のメタカードがよ……!
「俺は【溶岩龍・ヒート】を相手の二枚のモンスターをリリースして通常召喚!!」
「っ!? なんで溶岩龍がデッキに!」
「現代デュエル・マイスターは破壊耐性があるモンスターが多すぎるんだよ、ピンでも入れててよかったぜ……」
「わ、わたしのマジシャンが……」
ここからは俺のソリティアだ! フリーダムを返してもらうぜ!!
「俺は【美味魚・アジ】を特殊召喚! このカードは自分の場にカードが置かれていない場合に特殊召喚することができる」
「えっ! お刺身デッキ!?」
「ふふっ、ネタデッキとして君臨し続けてきたお刺身デッキ……サザナミがどうトチ狂ったか今発売されてるパックで大幅な強化を貰ったのさ! 行くぜ!! 美味魚・アジの効果発動、このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、自分の手札にある美味魚と書かれたカードを自身をリリースすることによって特殊召喚することができる! 大海で鍛え抜かれたその肉体、脂が乗って超美味! 【美味魚・ブリ】を特殊召喚! 美味魚・ブリの召喚時効果、墓地にある美味魚と名の付くカードを一枚自分の場に守備表示で特殊召喚することができる。美味魚・アジを特殊召喚! 美味魚・アジの効果発動! 自分の手札から【美味魚・ヒラメ】を特殊召喚! 美味魚・ヒラメの召喚時効果、自分のデッキから美味魚・イワシを二体まで特殊召喚することができる! でてこいお魚パラダイス! 美味魚・イワシ二体! ここで速攻魔法! 【捕食者の大口】を発動! 捕食者の大口は手札にあるレベル8以上の美味魚と名の付くモンスターを美味魚・イワシを一枚使うことによって特殊召喚することができる。現われよ! 磯の支配者……! 【美味魚・タイ】!!」
「攻撃力3000のモンスター……いや、お魚……」
「まだ俺のターンは終了していないぜ! ここで通常魔法【大漁旗】を発動! 場にある魚族モンスターの数まで相手のカードを破壊することができる。溶岩龍と二枚の伏せカードを破壊!」
「っ!? でも、ブリは攻撃力2000、ヒラメは2400、タイが3000……わたしのライフは残る!」
「それはどうかな?」
「え?」
「俺はレベル9の美味魚・ブリとレベル1の美味魚・イワシをチューニング! 寒さ、海流、厳しさ、そのすべてを乗り越えし伝説の巨大魚! 現われよ!! 【美味魚・大間マグロ】!! マグロの効果発動! 自分のデッキを三枚墓地に送り、その中に美味魚と名の付くカードがある場合、一枚につき500ポイント攻撃力をアップする! 一枚目! 美味魚・アジ! 二枚目! 美味魚・サンマ! 三枚目! 美味魚・サーモン! これで美味魚・大間マグロの攻撃力は2500から4000へアップ! そして美味魚・大間マグロの二つ目の能力!! 自分の墓地にある美味魚とかかれたモンスターをすべて除外することによって攻撃力を倍にする!!」
「ま、まさか……こんな……!」
「大トロアタック! 8000!!」
互いに口上やらを言い過ぎたせいか凄く疲れた……。
するとカードショップの香ばしい香りのお兄さん達が拍手喝采、俺も新鮮魚デッキ作るわ! とか言ってる。
――互いに赤面した。
2
「明広くんのデュエル……本当に凄いよ……」
「ああ、カードを信じて己を信じればデッキは必ず答えてくれる。それが
さくらがゆっくりとスリーブに入ったドラゴ・フリーダムを手渡した。
「次はもっと凄いデッキで相手するから……覚悟してね?」
「おーこわ」
互いに笑いながら帰路についた。
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