42話 美少女ゴーレム、メイド化する
勇者の資格を手に入れ、ゴーレム勝負が決まった次の日。
僕とアルカは、明日の勝負のための準備をしていた。
僕はいつもの普段着。アルカは……メイド服に着替えていた。
お金を渡して『家事をするために、動きやすそうな服を買ってきて』と頼んだら買ってきたのがこれだった。
確かにスカートの丈が短いので動きやすそうではあるが……。
しかも胸元と型が露出しているタイプを買ってきたので、目のやり場に困る。
どうして胸が大きいのに、それをさらに強調するようなデザインを選んだのか。
もし狙ったやっているとしたら、恐ろしい学習能力だと言わざるを得ない。
「どうでしょう、似合っていますか?」
「うん、似合ってるよ」
アルカがまた嬉しそうに笑ってくれた。
「せっかくなので、
服を着替えただけなのだが、勝手に
「やはりまず、基本的な家事あたりから習得していくべきでしょうか」
そう言ってメイド服のアルカはホウキを握り、掃き掃除を始める。
ホウキを握るのは初めてのはずだが、動作はとても丁寧だ。家の床があっという間に奇麗になっていく。
「これからは、マスターが寝ている間に掃除などの家事をしておきますね」
「ありがとう、助かるよ」
「私も、戦闘以外の形でもマスターのお役に立ててうれしいです」
続いて料理だ。
これまで僕が料理を作っているとき、アルカにはお皿の準備など別の仕事をしてもらっていたが、今日はアルカと一緒に作る。
「ホットケーキは、上側の面にぽつぽつと気泡ができ始めたらひっくり返して――」
「なるほど……」
アルカには人間ではまるで追いつけない学習能力があるので、あっという間に僕よりもうまくなってしまった。
「決めました! 朝ごはんはこれから毎日私が作りますので、マスターはその分ゆっくり寝ていてください」
「え、いいのか?」
朝ごはんを作って待っていてくれる人がいるってなんだかうれしいな。起きる楽しみが増える。
この日は、他にもアルカと一緒に色々と料理をしたりした。
試作と試食を繰り返して、気付けば夜になっていた。
「もうこんな時間ですね。マスター、片付けはやっておきますから、今日はお休み下さい」
「わかった、そうさせてもらうよ」
「明日の朝ごはん、期待していてくださいね」
僕はアルカに見送られながら、寝室へ向かう。
「お掃除と料理の他に、マスターのお役に立てることと言えば……そうだ、いいことを思いつきました!」
アルカが何やら新しいことの練習を始めるようだ。
何を覚えるつもりなのか。僕は明日を楽しみにしながら眠りについた。
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